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タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラの違いと使い分け
タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラは、建設・建築現場はもちろん、家庭でのDIYなどでも大活躍する工具です。それぞれに適した用途がありますが、見た目が似ていることもあり、混同されることも多い工具です。そこで、今回の記事では、それぞれの工具の違いや使い分けを詳しく解説していきます。用途にあった最適な一台がきっと見つかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
呼び方について
ピンタッカーやフィニッシュネイラなどは、各メーカーで呼び名が違っていて、調べる時に混乱することもあるかと思います。商標で同じ名前が使えないという理由ですので、中身は全く同じものと考えて大丈夫です。
この記事では、タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラ・ブラッドネイラと呼称しています。
タッカー | ピンタッカー | フィニッシュネイラ | ブラッドネイラ | |
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呼称 |
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使用釘 | ![]() |
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最大の違いは打てる釘
タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラはそれぞれ使う釘が異なります。このため互換性はなく、釘の使い回しはできません。
この釘の違いによって、それぞれの用途が違ってきます。
タッカー【ステープル】

タッカーではステープルと呼ばれるコの字型の釘が使われます。見た目はホッチキスの芯とよく似ています。
タッカーの用途
タッカーはステープルの特徴を生かして、主に目に見えない箇所の固定に使われます。建築や建設現場でよく使われる内容としては、防湿・防水・防音シート留め、気密シート留め、見切り材留め、断熱材留め、下地材・薄ベニヤ留め、石こうボード留め、軒天材留め、などがあります。DIYでの椅子やソファーの布地交換や、工作などにもおすすめです。


フローリング貼りに特化したフロアタッカーもラインナップされていて、フローリングの固定を強力にこなせます。


打込み跡がはっきりと見えるので、人目につきやすい場所など目立たせたくない場合にはおすすめできません。
ピンタッカー【ピン釘】

ピンタッカーでは、ピン釘と呼ばれる軸径わずか0.6mmの頭部のない釘が使われます。見た目は針金のようになっていて、それがシート状にまとめられています。

ピンタッカーの用途
主に住宅の内装工事で用いられており、巾木や回り縁、化粧材などの取り付け作業を効率よくこなすことができます。細い溝や隅に打ち込むことが多いため、それに対応した先端形状や構造をしています。対象材に合わせて釘頭に色のついたピン釘を使うことで、釘がより目立ちにくくなり、美しく仕上げることができます。
保持力はかなり低いので、接着剤と併用し、接着剤が固まるまでの仮止めとしてもよく使用されています。


打込み跡がほとんど目立たないので、目立たせたくない場合に最適です。
フィニッシュネイラ【仕上げ釘・超仕上げ釘】

フィニッシュネイラでは、仕上げ釘と呼ばれる頭径1.9mm・軸径1.25~1.3mmの釘が使われます。見た目は針金のようになっていて、それがシート状にまとめられています。色のバリエーションが最も豊富です。

仕上げ釘には次のような特徴があります。
- ピン釘よりも保持力が強い
- カラーバリエーションが豊富
- ピン釘よりも太く、頭径もあるため、打込み跡が目立つ

仕上げ釘よりも目立ちにくく、ピン釘よりも保持力がある超仕上げ釘もあります。

フィニッシュネイラの用途
主に住宅の内装工事で用いられており、巾木や回り縁、化粧材などの取り付け作業を効率よくこなすことができます。細い溝や隅に打ち込むことが多いため、それに対応した先端形状や構造をしています。ピン釘よりは目立ってしまうので、豊富なカラーバリエーションを生かして素材に色を合わせることで目立ちにくくします。下地や窓・ドア枠などの取り付けにも対応します。


保持力は強いので、接着剤などを使わずにしっかりと固定ができます。作業効率を上げたい場合に有効的です。
ブラッドネイラ【ブラッドネイル】

ブラッドネイラでは、ブラッドネイルと呼ばれる釘が使われます。仕上げ釘の一種ですが、フロア打ちに対応できる保持力の高い釘になります。
ブラッドネイルには次のような特徴があります。
- ステープルと比較して木割れや膨らみを防ぎ、美しく仕上げることができる
- ステープルと比較して、保持力は弱い

ブラッドネイラの用途
フロア打ちの中でも、堅くて割れやすいカリンやナラといった単板のフローリング材の打込みに使われます。
一般的に使われるフロアタッカーと比較して用途がかなり限定的で汎用性が低いことと、フロアタッカーの性能も向上してきたため、あまり使われなくなってきています。また、マックスはブラッドネイラの販売をすでに終了しています。
それぞれの釘の簡単比較
それぞれの釘を相対的に比較してみました。選ぶ際の参考にしてみてください。
ステープル | ブラッドネイル | 仕上げ釘 | 超仕上げ釘 | ピン釘 | |
---|---|---|---|---|---|
保持力 | 最高 | 高 | 中 | 弱 | 最弱 |
目立ちにくさ | 最低 | 低 | 中 | 高 | 最高 |
主な用途 | フロア施工・家具木工・木箱梱包・断熱材・各種シート・DIY | フロア施工 | 化粧材・廻り縁・巾木などの内装・下地・窓/ドア枠 | 化粧材・廻り縁・巾木などの内装 | 接着剤を併用し化粧材・廻り縁・巾木といった内装の仮止め |
そもそもタッカーとは?
一言で表すと、「現場用のホッチキス」と言える工具がタッカーになります。一般的なホッチキスと同様にコの字型のステープル(釘)を使い、断熱材の貼付けやシート・ベニヤなどの貼り付けなどに使われます。
フローリングの貼付けに特化したタッカーとして、フロアタッカーもあります。
作動方式として、電動式・エア式・手動式に分類されます。
ステープルは、用途に応じて幅や足の長さが違うものが多数ラインナップされています。1つの機種で足の長さの違いは問題なく対応できますが、幅の違いには対応できない(1つのタッカーで使えるのは1種類の幅のステープルだけ)ので、選定の際には十分ご注意ください。
電動タッカー
充電式のタッカーです。従来は手動式のラピッドタッカーやハンマータッカー、空気式のエアタッカーが主流でしたが、バッテリーの性能向上と充電式ならではの機動性が相まって、今ではかなり主流になりつつあります。マキタ・HiKOKI・マックスといった大手工具メーカーのラインナップがあり、他の電動工具とバッテリーを使い回せる点も大きなメリットです。

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エアタッカー
エア式のタッカーです。充電式の登場で押され気味ですが、まだまだ主流です。充電式と比較して、別途コンプレッサーを用意する必要があり、エアホースの取り回しなどに気を使うといったデメリットもありますが、バッテリーがないため本体が非常に軽量で取り回しがしやすいという大きなメリットもあります。また、エア式の利点を生かして、エアダスターを備えている機種もあります。
圧力について
エアタッカーは使用する空気の圧力の違いによって、高圧用と常圧用に分けられます。
高圧用は、1.2~2.3MPa(12~23kgf/cm2)で用いられます。常圧用と比較して小型軽量かつハイパワーなので、安定した打込力があります。
常圧用は、0.39~0.83MPa(4~8.5kgf/cm2)で用いられます。高圧と比較して、長時間の使用に向いています。
フロアタッカーについて
エアータッカーの中でもフロア打ちに特化したタイプがフロアタッカーです。
フロアタッカーではフロア用の専用ステープルが使われます。エアータッカーとステープルの互換性はありませんので、ご注意ください。
▼関連記事
エアタッカーの選び方とおすすめ機種についてはこちらでご覧ください☟

手動タッカー
手動式のタッカーです。対象材に押し当てて、トリガーを引くことでステープルが打ち込まれるガンタッカーと、ハンマーのように対象材に叩きつけてその衝撃を利用してステープルを打ち込むハンマタッカーの2種類があります。軽くてどんな場所でも手軽に使用できるので、エア式や電動式が普及した現在でも一定の需要があります。

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そもそもピンタッカーとは?
主に住宅などの内装工事の仕上げ段階で使われており、巾木や回り縁、化粧材などの取り付け作業を効率よくこなすことができる工具です。釘が細くほとんど目立ちませんが、その分保持力は弱いので、接着剤と併用して乾くまでの仮止めとして使われます。
ピン釘は、ステープルのように幅による違いはなく、足の長さの違いのみになります。
作動方式として、電動式・エア式に分類されます。
電動ピンタッカー
充電式のピンタッカーです。コードレスで機動性に優れています。充電式タッカーと同様にマキタ・HiKOKI・マックスといった大手工具メーカーのラインナップがあり、他の電動工具とバッテリーを使い回せる点も大きなメリットです。

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エアピンタッカー
エア式のピンタッカーです。充電式の登場で押され気味ですが、まだまだ主流です。充電式と比較して、別途コンプレッサーを用意する必要があり、エアホースの取り回しなどに気を使うといったデメリットもありますが、バッテリーがないため本体が非常に軽量で取り回しがしやすいという大きなメリットもあります。また、エア式の利点を生かして、エアダスターを備えている機種もあります。
圧力について
エアピンタッカーは使用する空気の圧力の違いによって、高圧用と常圧用に分けられます。
高圧用は、1.2~2.3MPa(12~23kgf/cm2)で用いられます。常圧用と比較して小型軽量かつハイパワーなので、安定した打込力があります。
常圧用は、0.39~0.83MPa(4~8.5kgf/cm2)で用いられます。高圧と比較して、長時間の使用に向いています。
そもそもフィニッシュネイラとは?
主に住宅などの内装工事の仕上げ段階で使われており、巾木や回り縁、化粧材などの取り付け作業を効率よくこなすことができる工具です。仕上げ釘はピン釘より太く頭径もあり保持力が強いため、接着剤などを併用しなくてもしっかりと固定することができます。その分打込み跡が目立ってしまうので、部材と同じ色の釘を使うなどの対策が必要になります。
仕上げ釘は、頭径が約1.9mmの一般的なものの他に、超仕上げ釘と呼ばれる頭径約1.4mmのものがあります。超仕上げ釘は、仕上げ釘とピン釘の中間のような性能とイメージするとわかりやすいでしょう。
作動方式として、電動式・エア式に分類されます。
電動フィニッシュネイラ
充電式のフィニッシュネイラです。コードレスで機動性に優れています。つい最近までは充電式のフィニッシュはマックスのみの専売特許といったところでしたが、ここ2年でマキタ・HiKOKIもラインナップに加えてきました。今後の開発競争で更により良い機種が出てくることも期待できます。

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エアーフィニッシュネイラ
エア式のフィニッシュネイラです。充電式の登場で押され気味ですが、まだまだ主流です。充電式と比較して、別途コンプレッサーを用意する必要があり、エアホースの取り回しなどに気を使うといったデメリットもありますが、バッテリーがないため本体が非常に軽量で取り回しがしやすいという大きなメリットもあります。また、エア式の利点を生かして、エアダスターを備えている機種もあります。
圧力について
エアフィニッシュネイラは使用する空気の圧力の違いによって、高圧用と常圧用に分けられます。
高圧用は、1.2~2.3MPa(12~23kgf/cm2)で用いられます。常圧用と比較して小型軽量かつハイパワーなので、安定した打込力があります。
常圧用は、0.39~0.83MPa(4~8.5kgf/cm2)で用いられます。高圧と比較して、長時間の使用に向いています。
主なメーカー
タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラは、主にマキタ・HiKOKI・マックスの大手3メーカーが製造しています。
マキタ

日本の電動工具のシェアトップメーカーで豊富な充電工具のラインナップを持つ。タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラでは、充電式・エア式を幅広くラインナップ。
HiKOKI(旧 日立工機)

国内ではマキタに次ぐ大手電動工具メーカー。タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラでは、エア式が多めのラインナップ。
マックス

エアー工具や電動工具、文具・オフィス用品などを手がける大手メーカー。エアー工具分野では高いシェアを誇る。意外と知られていないが、日本では市場に出ているステープラー、所謂ホッチキスは殆どがマックス製品。タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラでは、エア式が多めのラインナップ。
藤原産業

主にDIY向け商品を多数手がけるメーカー。主要ブランドのSK11は、低価格でありながら高い品質で一般ユーザーからセミプロユーザーまで幅広い人気を集める。常圧のピンタッカー・フィニッシュネイラをラインナップ。
釘打機・ビス打ち機との違い
基本的に別の用途に用いられる別の工具ですので、しっかりと使い分ける必要があります。
釘打機との違い
タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラは基本的に木材に対して使用されます。一方、釘打機はその名の通り釘を使用し、木材はもちろん2×4材、鋼板やコンクリートに対しても使用されます。
イメージとしては、タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラが内装・仕上用、釘打機は外装・躯体用といった立ち位置になります。釘打機で内装の作業をすること自体はできますが、オーバースペックであることと、重量が重くなり取り回しにくくなるので、おすすめはできません。もちろんタッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラでは、非力すぎるので外装・躯体の作業をすることはできません。
ビス打ち機との違い
ビス打ち機は、木下地や薄鋼板下地に石こうボードを取り付ける際に使用されます。ビス(ネジ)を使うことで、天井や壁・床などの下地とボードをしっかりと固定することができます。石こうボードは巾木などよりも大きく重量があるので、タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラで作業することはできません。特に天井での作業では、ネジ山のないステープルやピン釘、仕上げ釘などでは簡単に抜け落ちてしまいます。
まとめ
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。タッカー・ピンタッカー・フィニッシュネイラの違いと使い分け、いかがでしたでしょうか。皆さまの機種選びのお役に立てば幸いです。またご質問などもお待ちしております! お気軽にお問い合わせください。
それぞれの違いが分からず困っていました。建築に関わって間もない人なら必ず一度はこのページを訪れるはず。丁寧に、詳しく、そして幅広く情報を乗せてくれているので大変参考になりました。