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新型インパクトドライバーWH36DC登場
ついにHiKOKIから新型のマルチボルトインパクトドライバー、WH36DCが発表されました。従来機WH36DAの発表が2017年8月なので、約3年ぶりのフラグシップ機の新型ということになります。
今回の記事では、WH36DCを隅々まで余すことなくチェックしていきたいと思います。更に従来機との比較も行っていきます。
WH36DCの特徴をチェック
それでは早速、WH36DCの主な特徴をチェックしていきましょう。
ビット振れが約17%軽減
WH36DCは従来機WH36DAと比較して、ビットブレが約17%軽減されています。もともとHiKOKIのインパクトドライバーには、ビットがブレにくくて良いという声が寄せられていましたが、新型機ではブレがより抑えられています。
ブレが少ないと狙ったところにしっかりとビットを当てることができるので、打ち損じが少なくなり、材料を傷つける心配も少なくなります。また、カムアウトを抑えることができ、片手操作でもビスが倒れにくくなります。
ヘッド長114mmを実現
WH36DCのヘッド長は、114mmとなっています。従来機WH36DAが127mmだったので、13mmも短くなったということになります。このヘッド長は、36Vクラスのインパクトドライバーの中では、業界最短となっています。さらに、現在HiKOKIから販売されているインパクトドライバーの中でも最短になります。また、各メーカーの主要な機種で比較しても、かなりコンパクトな部類に入ります。
狭いところでの作業でも不自由なく使えるので、できるだけヘッド長は短いほうが助かりますね。
最大締め付けトルクが200N.mにアップ
WH36DCの最大締め付けトルクは、200N.mとなっています。従来機WH36DAが180N.mだったので、20N.mアップしたことになります。最も、従来機WH36DAは搭載しているトルクリミッターでトルクを180N.mに抑えており、リミッターを解除するともっと出せるとのことでしたので、今回はリミッターを緩めてきたということなのかもしれません。
最大のライバルとなるマキタのTD001Gが220N.mであることを考えるとちょっと物足りないような気がしますが、トルクを追求するよりは、今ユーザーに最も求められている使い勝手の良さを追求するというHiKOKIの開発方針とのことです。
実際、スペック上は180N.mでも200N.mでも220N.mでも、ネジ締め能力やボルト締め能力自体に差はありません。差が出てくるのは締め付けスピードですが、HiKOKIは業界最速の締め付けスピードとアピールしています。独自技術のトリプルハンマ機構やビットブレが減少したことによるパワーロスの削減など、トルク以外の点でこのスピードを実現していると思われます。
締め付けスピードに関しましては、実機で比較することを検討しています。動画なども掲載する予定ですので、しばらくお待ち下さい。
3灯式LEDライト搭載
WH36DCは3灯式のLEDライトを搭載しています。従来機WH36DAは2灯式で、影ができてしまう部分がありましたが、3灯式とすることでまんべんなく照らすことができ、より影ができにくくなっています。また、LEDが増えた分、より明るくなっています。
3~4年前までのインパクトドライバーではほとんど1灯式ライトで、最近のフラグシップ機でも2灯式という点を考えると、やはりHiKOKIの使い勝手を重視した設計の表れだと思います。
ボルトモード搭載
ついにHiKOKIのインパクトドライバーにもボルトモードが搭載されました。連発モードと単発モードを選択することができ、単発モードでは打撃回数を制御して締めすぎを防止します。
プライスダウン
電動工具に限らず、新型が出ると性能アップにともなって価格もアップすることが一般的ですが、なんとWH36DCでは性能はアップして価格はダウンしています。それも10円・100円という細かい金額ではなく、メーカー希望小売価格で2500円前後(実勢価格で1500~2000円)という大きい金額になっています。
従来の18V機からの乗り換えや、他社から乗り換える際にも、十分なメリットになりますね。
XN(充電器なし)仕様がラインナップに追加
従来機WH36DAでもXN(充電器なし)仕様がありましたが、これはリピーターモデルと言う限定モデルでした。新型機WH36DCでは、最初から仕様の一つとしてラインナップ入りを実現しています。
「充電器は持っているから本体とバッテリーだけ欲しいんだけど、フルセットを選んだら充電器が余計だし、本体のみを選んだら別にバッテリーも買わないといけないからめんどうくさい」という声はこれまでに多く寄せられていました。ビルディオリジナルセットのWH36DA充電器なしモデルや、WH36DA充電器なしリピーターモデルが大好評だったことを考えると、HiKOKIのユーザーの声をしっかりと取り入れるという姿勢が現れていると言えますね。
形名 | マルチボルトバッテリー(BSL36A18) | 急速充電器(UC18YDL2) | ケース | |
---|---|---|---|---|
WH36DC | (2XP) | ◯(2個) | ◯ | ◯ |
(2XN) | ◯(2個) | × | ◯ | |
(NN) | × | × | × |
耐久性アップ
インパクトドライバーは、長期間使用していると、経年劣化や砂などが隙間に入ることによる摩耗などで、取り付けたバッテリーがぐらついてくることがあります。
WH36DCでは、従来のインパクトドライバーでプラスチックだった本体側のバッテリー接続部に、金属プレートが取り付けられています。この改良により、長期間使用してもバッテリーがぐらついてくることがなく、安心して使用することができます。
Bluetoothで設定をカスタマイズできる(ただし条件アリ)
WH36DCでは、Bluetoothでスマートフォンと接続することで、スイッチの遊びや回転数などを自由に調整できるようになりました。また、HiKOKI TOOLSアプリで、製造番号などの本体情報を確認することもできます。
HiKOKI TOOLSアプリに関しては、HiKOKIでより詳しく解説されています。動画もありますので、是非一度ご覧ください。→公式サイトはこちら
- スイッチの遊び
- 最低回転数
- 最高回転数
- ソフトスタート
- 低速域の幅
ビルディスタッフもこのカスタマイズを体験させていただきましたが、アプリの設定一つで最高回転数やスイッチの遊びが変更できるというのは新鮮な印象でした。カスタムした設定は名前をつけてリストに登録することができ、作業内容や使用者に合わせていつでも呼び出せるので、より使い勝手の良いインパクトドライバーになりますね。
メリットは最高回転数だけではなく、最低回転数を低く設定することで、新型WH36DCでは、従来機WH36DAでは回転が止まってしまっていた微妙なスイッチの引き加減時でも止まらずに回転を続けることもできます。
と、ここまでいい事づくしですが、残念なことにこの機能はBluetooth機能を搭載したバッテリーBSL36A18Bを取り付けないと使用することができません。BSL36A18Bは2020年10月現在品薄となっており、入手はかなり難しくなります。
将来的には、セットで付属するバッテリーはこのBSL36A18Bに置き換わるとのことでしたが、いつになるかはまだ不透明な現状です・・・。
新色追加+カラーカスタマイズ
WH36DCでは、従来機WH36DAのアグレッシブグリーン・ストロングブラックの2色に加えて、新色としてフレアレッド・ディープオーシャンブルー・フォレストグリーンの3色が追加されています。全5色から選ぶことができるので、自分のお気に入りカラーのインパクトドライバーで現場でのテンションを上げることができますね。筆者的にはディープオーシャンブルーが気になっています・・・。
更に、本体の5色とは別に、別売のカラープレートが全5色ラインナップされていて、全25パターンで自分オリジナルのインパクトドライバーを作り上げることができます。
従来機WH36DAとのスペック比較
ここまでは、新型機WH36DCの特徴を見てきました。今度は、従来機WH36DAとの比較をスペックから見ていきましょう。
新型機 | 従来機 | |
---|---|---|
品番 | WH36DC | WH36DA |
発売日 | 2020年10月 | 2017年8月 |
最大トルク | 200N.m | 180N.m |
ヘッド長さ | 116mm | 127mm |
ネジ締め能力 (小ねじ) |
M4~M8 | |
ネジ締め能力 (普通ボルト) |
M5~M16 | |
ネジ締め能力 (高力ボルト) |
M5~M14 | |
ネジ締め能力 (テクスネジ) |
φ3.5~φ6 | |
ネジ締め能力 (コーススレッド) |
22~125mm | |
回転数(回転/分) |
|
|
打撃数(回転/分) | 0~4,100min-1 | |
打撃力切り替え | ソフト・パワー・ボルト・テクス | ソフト・ノーマル・パワー・テクス |
質量(バッテリ含む) | 1.6kg | |
1充電当たりの作業量目安 (小ネジM8×16mm) |
約4200本 | |
1充電当たりの作業量目安 (金物ビスφ6.0×120mm) |
約160本 | |
機能 | 無段変速・ブレーキ付・正逆回転切替・ライト付・トリプルハンマ・バッテリ2年保証・防塵防滴 | |
カラーバリエーション | 緑黒赤青緑 | 緑黒 |
価格 (フルセット) |
¥48,155 | |
価格 (充電器なしセット) |
¥42,694 | |
価格 (本体のみ) |
¥21,177 | ¥17,702 |
スペック比較では、ネジ締め能力や1充電あたりの作業時間などは全く同じであることが分かります。ただ、回転数に関しては大幅に増加しており、他社のインパクトドライバーを含めてトップクラスの数値となっています。これまで、「HiKOKIのインパクト気になるんだけど回転数がなぁ・・・」と思っていた方も満足できるでしょう。
WH36DCでは、WH36DAではあったノーマルモードがなくなっています。ただし、その代わりにボルトモード(単発・連発)が追加されていますので、利便性はアップしていると言えるでしょう。Bluetoothバッテリー必須という条件は付きますが、パワーモードは好みに合わせたカスタマイズも可能です。
ちなみに、スペック上の重量はどちらも1.6kgとなっていますが、実際にはわずかにWH36DCの方が軽くなっているとのことです。
おわりに
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。HiKOKI(ハイコーキ)待望の新型インパクトドライバーWH36DCは従来機からここが進化した!【新製品レビュー】、いかがでしたでしょうか。今後は最大のライバルとなるマキタTD001Gとの比較などもしていきたいと考えていますので、ご期待ください。
この記事が皆さまの機種選びのお役に立てば幸いです。またご質問などもお待ちしております! お気軽にお問い合わせください。