活線工事でのトラブル事例と準備しておきたい絶縁工具

感電事故防止

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活線作業とは

仕事で電気を取り扱っている方は、一般の方よりも電気の怖さをよく知っているはずです。例えば、マンションや戸建て住宅にエアコンを取り付けたり、従来の蛍光灯からLED照明に交換をしたりする場合の街の電気工事屋さんはもちろんですが、オフィスビル・施設のテナント室内改修工事や消防設備点検・改修工事を行う専門業者なども日常業務で電気を取り扱っています。

通常、電気工事や作業を行う場合には、感電事故を防ぐためにブレーカーを切ってから、通電をさせずに作業をすることを原則としています。しかし、実際には、蛍光灯の安定器交換やスイッチの交換や位置変更などの比較的危険の少ない作業などでは、ブレーカーを切らずに通電したままの状態で作業をしています。

つまり活線作業とは、通電状態で電気器具などの取り付け、補修作業をすることを言います。ベテランの電気工事の職人さんや日常業務で慣れっこになっている作業員の方は、電気の怖さは頭では分かっているけど自分だけは大丈夫、と思っていませんか?

今日はビルディマガジンの読者の方に、私が実際に現場で体験した活線工事のトラブルと対策方法をご紹介します。

活線工事のトラブル事例

活線作業:厚生労働省 職場のあんぜんサイト
活線作業:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

以前、管理会社のビル設備員として携わっていた時に経験した活線事故の事例です。担当していたビルは、大手不動産会社が所有する首都圏にある有名オフィスビルです。このビルでは、活線作業を禁止しており、業者が作業する前には、必ず活線作業禁止を説明するシステムになっていました。

電気モールに焦げ跡が

あるテナント改修工事での事例です。宿直時の深夜、警報が鳴動したので、電気室に入ると地絡継電器のランプが点灯しており、確認すると、ある階が該当しました。すぐに同僚と現地に急行しました。その階では、数週間前からテナントの改修工事が行われており、今日は、照明器具の設置作業の予定であることが工程表からわかりました。

現地では、電気工事の職人さんが数名で作業をしていたので、急行してきた状況を説明し、何の作業をしていたのかを尋ねました。当初、職人さんは通常通りの作業をしていたと言い、問題になるような事は何もないと言っていましたが、照明器具フレームの焦げた跡について確認すると、専用部内のブレーカーを落とし忘れて活線のまま作業をしショートさせたことがわかりました。 すぐに作業を中止してもらい、翌日オーナーに報告したところ、即日その工事業者さんの出入りは禁止となりました。

エレベータ点検作業中に意識不明

夏の蒸し暑い夜間、エレベータの点検で作業員さんが作業をしていました。その時、監視室にテナント従業員から、エレベータのカゴの中で人が倒れている、との連絡が入りました。現地に駆け付けるとすでにテナント従業員の方たちで、カゴ内の作業員をエレベータホールに運び出していたので、すぐに救急車の要請をしました。

その作業員の方は、意識不明のまま病院に運ばれ、2日間意識が戻りませんでしたが、3日目にやっと意識が戻り、幸い一命をとりとめました。その後、その方から状況を聞くと、エレベータのカゴの中で脚立を立て、天井点検口から上半身を入れて、カゴ内の照明器具交換を活線状態で作業をしていたということです。その時、誤って電線の先端が、多量の汗をかいていた頭部付近に触れてしまい感電した、ということでした。

しかし、このヒアリングの後が大変なのは想像がつくと思います。電気主任技術者、建物オーナー、管理会社、エレベータ会社などで事故報告書を作成し、所管の機関への説明に膨大な時間を費やし、業務指導を受けることになりました。

活線トラブルを防ぐための作業手順

活線トラブルの防止は、いくつかありますが、最も確実なのは活線作業を行わないことです。これは、関東東北産業保安監督部発行の「平成27年度関東東北産業保安監督部管内 自家用電気工作物の電気事故について」にも明記されています。もし、ビルや施設のルールで活線作業が禁止されているなら絶対に行わないことです。また、活線作業を認めている場合には、その手順作業をしっかり順守しましょう。

基本的な活線作業の手順としては次の通りです。

活線作業の手順
  1. 作業員リーダを中心として、作業員間で今回の作業の内容と範囲を確認
  2. 絶縁用保護具の装着
  3. 活線作業用器具の点検
  4. 作業前に検電器を使用して活線と死線を確認
  5. 活線の充電部分には、必ずビニルテープなどで絶縁処理
  6. 万一、作業員が感電事故にあったらすぐに当該回路のブレーカーを遮断する。二次被害の恐れがあるので、遮断する前には、絶対にその作業員に触れてはダメ
  7. 大声で周囲に助けを求める

活線トラブル防止のための機材

活線トラブルに最も効果的な機材としては、感電を防ぐための絶縁性に優れた絶縁ゴム長靴、絶縁ゴム手袋、耐電性ヘルメットなどを装着することです。

また、充電部防護用シートも用意しましょう。

そして、電気工事作業には、絶縁被覆の工具を使用するのは当然ですが、活線、死線を判断するための検電器も必需品です。こちらでおすすめの絶縁工具の一部をご紹介します。

まとめ

電気を取り扱っている仕事の方は、常に感電事故に遭遇するものと思ってください。感電事故を未然に防ぐ最良の方法のひとつは、活線作業を行わないことです。しかし、実際のところ業務上、やむを得ず活線作業をすることは、たびたびあります。もし、業務で活線作業を行う場合には、必ず手順を守ることと同時に感電防止のための絶縁用保護具、活線作業用器具を正しく使用した上で、安全に十分注意することが大切です。

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