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新型震動ドリルドライバーHP486D、ドリルドライバーDF486D登場
マキタから、新型の震動ドリルドライバーHP486Dと、ドリルドライバーDF486Dが発売されました。従来機種HP481D/DF481Dの発売が2015年8月でしたので、5年半ぶりのモデルチェンジになります。後継機の登場を待ち望んでいたという方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、HP486D/DF486Dの特徴や従来機との比較はもちろん、他のドリルドライバーとの位置づけの違いや振動の有無による用途の違いまで、詳しくチェックしていきたいと思います。
マキタの18V震動ドリルドライバー、ドリルドライバーラインナップでの位置づけ
ラインナップでの位置づけ
まずは、今回登場したHP486D/DF486Dが、マキタの18V震動ドリルドライバー、ドリルドライバーのラインナップの中で、どの位置づけになるかを見ていきましょう。
2021年2月現在のマキタの18V震動ドリルドライバーラインナップは、フラグシップ・ハイミドル・ミドル・コンパクトの4機種となっています。また、18Vドリルドライバーのラインナップも同様に4機種となっています。
震動ドリルドライバー | |
---|---|
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ドリルドライバー | |
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HP486D/DF486Dは、ラインナップの中でフラグシップに該当する機種になります。
ラインナップ内でのポイント比較
ここからは、ハイミドルとミドルで何が違うのかなど、スペックを元に、もう少し詳しくラインナップを見ていきます。
フラグシップ | ハイミドル | ミドル | コンパクト | ||
---|---|---|---|---|---|
品番 | HP486D /DF486D |
HP458D /DF458D |
HP484D /DF484D |
HP483D /DF483D |
|
最大トルク | 140N.m | 84N.m | 60N.m | 40N.m | |
ヘッド長 | 178mm | 225mm | 182mm/172mm | 176mm/162mm | |
ネジ締め能力 | 木ねじ | φ10×90mm | φ10×90mm | φ10×90mm | φ6×75mm |
小ネジ | M6 | M6 | M6 | M6 | |
穴あけ能力 | コンクリート | 16mm (DF486Dは非対応) |
16mm (DF458Dは非対応) |
13mm (DF484Dは非対応) |
13mm (DF483Dは非対応) |
鉄工 | 13mm | 13mm | 13mm | 13mm | |
木工 | 50mm | 38mm | 38mm | 36mm | |
座堀 | 76mm | 76mm | – | – | |
コアビット対応能力 | φ170mm | φ65mm | × | × | |
チャック能力 | 1.5~13mm | 1.5~13mm | 1.5~13mm | 1.5~13mm | |
回転数 | 高速 | 0~2,100min-1 | 0~2,000min-1 | 0~2,000min-1 | 0~1,700min-1 |
低速 | 0~550min-1 | 0~400min-1 | 0~500min-1 | 0~500min-1 | |
打撃数 | 高速 | 0~31,500min-1 (DF486Dは非対応) |
0~30,000min-1 (DF458Dは非対応) |
0~30,000min-1 (DF484Dは非対応) |
0~25,500min-1 (DF483Dは非対応) |
低速 | 0~8,250min-1 (DF486Dは非対応) |
0~6,000min-1 (DF458Dは非対応) |
0~7,500min-1 (DF484Dは非対応) |
0~7,500min-1 (DF483Dは非対応) |
|
ブラシレスモーター | ◯ | × | ◯ | ◯ | |
サイドグリップ | ◯ | ◯ | × | × | |
重量 | 2.3kg | 2.3kg/2.2kg | 1.8kg/1.7kg | 1.5kg | |
実売 価格 |
フル セット |
¥67,928 (HP) ¥67,177 (DF) |
¥56,743 (HP) ¥56,061 (DF) |
¥56,743 (HP) ¥56,061 (DF) |
¥40,648 (HP) ¥39,966 (DF) |
本体のみ | ¥28,275 (HP) ¥27,513 (DF) |
¥17,178 (HP) ¥16,217 (DF) |
¥17,119 (HP) ¥16,474 (DF) |
¥14,415 (HP) ¥12,350 (DF) |
スペック上の主な比較ポイントとしては、トルク・ヘッド長・コアビット対応能力・ブラシレスモーターの有無・重量になってきます。
それぞれの具体的な数値などは上の表を見ていただきたいのですが、選定の基準としては次のようになります。
震動ドリルドライバーとドリルドライバーは、穴あけの有無以外のスペックはほぼ共通になっていますが、用途に合わせてドリルチャックの仕様が少し異なっています。
震動ドリルドライバーのドリルチャックは、振動に耐えるために耐久性重視のものが用いられています。一方で、ドリルドライバーのドリルチャックは、精度重視のものが用いられています。
なので、コンクリートへ穴あけをするなら震動ドリルドライバー。コンクリートへの穴あけをしないならドリルドライバーをおすすめします。
コンクリートへの穴あけをするなら
φ170mmまでのコア抜きをするなら・木工ドリルでφ50mmの穴あけをするなら 【パワー重視】
選択肢はHP486D(フラグシップ)1択です。
コア抜きをするがφ65mmまでなら
HP458D(ハイミドル)がおすすめです。ただ、HP458Dはブラシモーターなので、気になる方はHP486Dを選びましょう。
コア抜きをしないなら・コンクリートへの穴あけがφ13mmまででいいなら 【作業性重視】
サイズと重量、性能が良いバランスでまとまっているHP484D(ミドル)がおすすめです。
18Vで最も軽量コンパクトな機種がほしいなら
ヘッド長が最小の176mm、重量が最軽量の1.5kgとなっているHP483D(コンパクト)がおすすめです。
コンクリートへの穴あけをしないなら
φ170mmまでのコア抜きをするなら・木工ドリルでφ50mmの穴あけをするなら 【パワー重視】
選択肢はDF486D(フラグシップ)1択です。
コア抜きをするがφ65mmまでなら
DF458D(ハイミドル)がおすすめです。ただ、DF458Dはブラシモーターなので、気になる方はDF486Dを選びましょう。
コア抜きをしないなら 【作業性重視】
サイズと重量、性能が良いバランスでまとまっているDF484D(ミドル)がおすすめです。
18Vで最も軽量コンパクトな機種がほしいなら
ヘッド長が最小の176mm、重量が最軽量の1.5kgとなっているDF483D(コンパクト)がおすすめです。
HP486D・DF486Dの特徴をチェック
では早速、モデルチェンジしたHP486D/DF486Dの特徴をチェックしていきましょう。
ヘッド長が27mm短縮
ギアアッセンブリの内部構造を見直すことで、コンパクト化を実現しました。従来機HP481D/DF481Dより27mm短い178mmとなっています。狭い場所で取り回しやすくなることで、作業の効率がアップします。
さらに、震動ドリルドライバーHP486Dは、ミドルモデルのHP484Dよりコンパクトになっています。
最大トルクが140N.mにアップ
従来機HP481D/DF481Dは最大トルクが125N.mでしたが、新型のHP486D/DF486Dでは140N.mにアップしています。
重負荷連続作業量が1.6倍にアップ
発熱しにくい設計により、従来機HP481D/DF481Dより、重負荷時の連続作業量が1.6倍にアップしています。
定価は据え置き
HP486D/DF486Dの定価は、据え置きとなっています。
従来機とのスペック比較
ここまでは、新型機HP486D/DF486Dの特徴を見てきました。今度は、従来機HP481D/DF481Dとの比較をスペックから見ていきましょう。
新型機 | 従来機 | ||
---|---|---|---|
品番 | HP486D / DF486D | HP481D / DF481D | |
発売日 | 2021年2月 | 2015年8月 | |
最大トルク | 140N.m | 125N.m | |
ヘッド長 | 178mm | 205mm | |
ネジ締め能力 | 木ねじ | φ10×90mm | |
小ネジ | M6 | ||
穴あけ能力 | コンクリート | 16mm (※HP486D・HP481Dのみ) |
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鉄工 | 13mm | ||
木工 | 50mm | ||
座堀 | 76mm | ||
コアビット対応能力 | φ170mm | ||
チャック能力 | 1.5~13mm | ||
回転数 | 高速 | 0~2,100min-1 | |
低速 | 0~550min-1 | ||
打撃数 | 高速 | 0~31,500min-1 | |
低速 | 0~8,250min-1 | ||
重量 | 2.3kg | ||
定価 | フルセット | ¥84,200 | ¥84,200 |
本体のみ | ¥38,800 | ¥38,800 |
スペックを見てみると、トルクとヘッド長以外は全く同じとなっています。回転数や穴あけ能力の向上を期待していた方にとっては、少々残念な結果かもしれません。ただ、能力を一切変えずに、ヘッド長の短縮やトルクアップを実現したということは、マキタの製品開発の努力の結果と言えるのではないでしょうか。
上位機種のHP001G/DF001G(40Vmax)との違い
今回登場したHP486D/DF486Dは、18Vのドリルドライバー、震動ドリルドライバーの中ではフラッグシップモデルですが、さらに上位の機種として、40VmaxのHP001G/DF001Gがあります。こちらは41段電子クラッチ、振り回され低減機能AFT、コアビットφ220mm対応、コンクリートφ20mmの穴あけ対応、鉄工ビットφ20mm対応など、他のメーカと比較しても最強クラスの機種となっています。
18Vフラグシップ | 40Vmaxフラグシップ | ||
---|---|---|---|
品番 | HP486D / DF486D | HP001G / DF001G | |
最大トルク | 140N.m | 150N.m | |
ヘッド長 | 178mm | 182mm(HP001G) 181mm(DF001G) |
|
穴あけ能力 | コンクリート | 16mm | 20mm |
鉄工 | 13mm | 20mm | |
コアビット対応能力 | φ170mm | φ220mm | |
回転数 | 高速 | 0~2,100min-1 | 0~2,600min-1 |
低速 | 0~550min-1 | 0~650min-1 | |
打撃数 | 高速 | 0~31,500min-1 | 0~39,000min-1 |
低速 | 0~8,250min-1 | 0~9,750min-1 | |
触れ回され低減機能(AFT) | × | ◯ | |
クラッチ | 21段機械式 | 41段電子式 |
このように、18Vと40Vmaxでは、結構差があることが分かります。実売価格にはあまり差がありませんので、18Vの方では用途的に足りないという方は、40Vmaxの方を検討しても良いかもしれません。
【番外編】HP(震動ドリルドライバー)とDF(ドリルドライバー)の違いとは
こちらの2機種、どちらが震動ドリルドライバーで、どちらがドリルドライバーか分かりますか?
答えは、左が震動ドリルドライバーHP486D、右がドリルドライバーDF486Dになります。このように、マキタの震動ドリルドライバーとドリルドライバーは非常によく似た(実質同じ)見た目となっています。また、HiKOKIなどの他メーカーも同じようにそっくりな見た目をしていることがあります。
上からクラッチのリング部分を見て、ハンマーのマークがついている方が震動ドリルドライバーになります。
さらに、見た目だけではなく、スペックもほとんど共通となっています。
これは、基本的に震動ドリルドライバーから振動機能を外したものがドリルドライバーになるためです。全く別の設計にするより、外装や多くの部品を共通化して、一部の機能だけを外したほうがコストを抑えることができ、生産の効率も上がるためと考えられます。
この弊害として、震動ドリルドライバーとドリルドライバーを間違えて購入される方がかなり多くいらっしゃいます。特に、震動ドリルドライバーを買うつもりがドリルドライバーを買ってしまった場合には、大きな問題が発生してしまいます。
その問題とは、震動ドリルドライバーではコンクリートへの穴あけができるが、ドリルドライバーではコンクリートへの穴あけができないということです。震動ドリルドライバーとドリルドライバーの最大の違いがこの点になります。
コンクリートへ穴あけを検討されている方は、震動ドリルドライバーを購入するようにしましょう。マキタでは、HPから始まる型番が震動ドリルドライバーになっています。
また、コンクリートへの穴あけはしないという方は、ドリルドライバーをおすすめします。「価格があまり変わらないならどっちもできる震動ドリルドライバーの方が良いんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、ドリルドライバーは、振動機能がないかわりに、精度の高いドリルチャックを採用しています。ドリルチャックの精度が高いと、ビットがブレにくくなり、よりきれいな穴あけができるようになります。マキタでは、DFから始まる型番がドリルドライバーになっています。
ちなみに、HiKOKIではDVから始まる型番が震動ドリルドライバー、DSから始まる型番がドリルドライバーとなっています。
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マキタ震動ドライバードリルHP484DとHP481Dの違いは?震動なしドライバードリルとの使い分け マキタの型番については、こちらの記事でより細かく解説しています☟ マキタカタログの見方「型番だけで仕様が分かる」ルールを解説。おわりに
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。振動あり&無し要注意!マキタ新型の震動ドリルドライバーHP486D・ドリルドライバーDF486Dを解説【新製品レビュー】、いかがでしたでしょうか。皆さまの機種選びのお役に立てば幸いです。またご質問などもお待ちしております! お気軽にお問い合わせください。
こんにちわ。
振動付きと振動なしで、なんでこの程度の価格差なのかと思っておりました。
振動付きを買ったほうがお得感満載!かとおもっておりましたので、
とても参考になりました。