プレカット階段施工時におさえたい6つのポイント

プレカット階段施工

プレカット階段施工について

ビルディマガジン読者の皆さんこんにちは。建築士のターボーです。今回はリクエストの多かったプレカット階段について書いてみたいと思います。

昨今では、現場で最小限の加工で済むように、工場で加工済みの材料を注文して現場で組む、というプレカット階段を使った施工がほとんどになっています。

このプレカット階段は、工場で様々な加工をすることができます。しかし、それゆえに、注文をして現場で組んでみて仕上げてみると、アレ? こんなはずじゃあなかったのに・・・どうなってるの? ということがありませんか?

プレカット階段のメリットとデメリット

最近のプレカット階段は、プレカット加工が始まったころに比べると納期も早くなり、様々な加工ができるようになってきています。現場で加工をする手間が省けることから、短い期間で階段の施工ができる点が評価され、現在では主流になっています。一方、便利な反面、注文の仕方を間違えるとトラブルにもなりがちという側面があります。

つまり、長所と短所が隣り合わせに存在しているため、現場に応じた正しいサイズの情報や納まりを検討した上で、注文をすることが必要になります。

プレカット階段の注文の流れ

注文時の基本ポイント

プレカット階段を注文する際には、まずは基本的なことを押さえることから始まります。

注文時の基本ポイント
  • 階高・・・階段を掛ける階、例えば1階と2階の取り合いの階段であれば、1階の床面から2階の床面(上段框)までの寸法
  • 上がり切りの段数・・・1段目から上段框までの段数
  • 踏み面・・・1段の鼻の出から次の段の鼻の出までの寸法
  • 蹴上・・・階段1段あたりの段の高さ=階高÷上がり切りの段数
  • 柱芯々・柱のサイズ・・・階段でも、縦と横のサイズがすべて同じとは限りません。このサイズを間違えると階段がうまく納まりません

デザインの確認

次に、階段のデザインを確認します。家によって箱階段だったり、ひな壇だったり、ストリップ階段だったり、と様々なデザインがありますので、デザインを決めます。

EIDAI:ひな壇階段
画像出典 EIDAI:ひな壇階段
大建:箱階段
画像出典 大建:箱階段

このデザインによって、使う部材まで変わってくるので、必ず確認が必要です。

例えば、階段の下からも見えるような意匠のストリップ階段であれば、階段の段板やささら桁(側板)等も、見える部分はすべて化粧をしているものが必要になってきます。

ひな壇の階段であれば、階段のささら桁(側板)は段板の上部にはでてこない事から、段板を支える部分だけ加工をし、上部の余計な部分を落としたものが必要になります。また、ひな壇でもササラ桁を見せることなく、クロスで隠してしまう場合であれば、化粧をしてないササラ桁(側板)になったりと、意匠性によって使う部材がそれぞれ異なってくるので注意が必要です。

後はメーカーさんによって、巾木の加工をしたり、ささら桁(側板)にボードのしゃくりを入れたり、踏板に蹴込の溝を入れたり、様々な施工上のオプションがあります。 これらを使う際には、必ず注文前に確認が必要になります。(細かなオプションが増えるほど、確認が必要になりますので、十分注意が必要です)

EIDAI:プレカット階段
画像出典 EIDAI:プレカット階段
EIDAIプレカット階段注文用紙
画像出典 EIDAI:プレカット階段注文用紙例

階段の納まりのチェック

そして、一番注意をしてほしいのは「階段の納まり」です。

階段を手で加工をする大工さんは、現場で必ず納まりを確認してから、部材の加工をします。先ほど、基本の寸法として記した五つの寸法だけでは、キレイには納まりません。

納まりを検討し、確認をすることで、段板の鼻先が柱面に来るのか、それとも、柱の芯に来るのかがわかりますし、またササラ桁がどこまで伸びてくるのかもわかります。

巾木は階段に合わせる?壁に合わせる?

プレカットを頼んだのはよいけれど、部材が届いて納めてみるとササラ桁が壁からはみ出していたり、床についている巾木との取り合いがうまくいっていなかったりしたことはありませんか? 階段を美しく収めようとするには、階段だけではなく、そのほかとの取り合いについても細かく検討することが大事になってきます。

特に階段の段板廻りを巾木で回してくる場合には、巾木を階段に合わせるのか? それとも壁の色に合わせるのか? といったことも確認を怠るとお施主さんとトラブルになったりもするものです。

巾木の色は壁の色とどう関係付けるのか? 階段のスタートはどのように納めて美しくみせるのか? ちょっとしたことですが、細かい事を気にかけるかどうかで大きな違いを生み出します。

料理でも、ちょっとひと手間かけるとこの美味しさ!という言葉を聞きますよね。それと同じで、ちょっとした事で違いが出てくるのです。皆さんも是非実践してみてください。

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プレカット階段施工でおさえるべき6つのポイント

ここまで見てきたプレカット階段施工の大切なポイントを6つにまとめました。

プレカット階段施工時の6つのポイント
  • 1.各寸法を正確に算出することが重要
  • 2.見える部分を明確にし、化粧仕上げをする場所はどこなのか?をチェック
  • 3.納まりのチェック(意匠性)段板廻りを巾木で納めるのか?それとも巾木で納めるのか?
  • 4.巾木で納める場合は、壁に合わせるか?階段に合わせるか?を確認
  • 5.施工前の納まりの確認(施工性)
  • 6.段板の鼻先の納まる位置と他の部材の取り合いを確認
マキタ 階段定規 KJ100/130/150

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