【監督は見た】マンションリフォーム時の養生&クリーニングのポイント・トラブル事例

マンションリフォーム・養生とクリーニング

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リフォームは「養生」に始まり、「クリーニング」に終わる

ビルディマガジン読者の皆さん、こんにちは! マンションリフォームのポイントについて、現場監督として数多くのマンションリフォームに携わってきた私ベンガルがわかりやすく解説していくこのシリーズ。今回で三作目になります。

テーマ1『【監督は見た】マンションリフォーム共用部・専有部にまつわる5つのトラブル事例』↓ マンションリフォームのポイント【監督は見た】マンションリフォーム共用部・専有部にまつわる5つのトラブル事例 テーマ2『【監督は見た】マンション水まわりリフォーム9つのトラブル実例』↓ マンションリフォームのポイント【監督は見た】マンション水まわりリフォーム9つのトラブル実例

マンションに限らず、リフォームでは「養生」と「クリーニング」は大変重要です。特にマンションでは、お部屋内だけでなく、他のマンション入居者が日常的に通行する、エントランス、エレベーター、外廊下等の共用部の養生とクリーニングも必要となります。

木工事や内装工事等のメインの工事がどんなに良くても、養生とクリーニングがしっかりできていなければクレームにつながり、工事品質を落とすことにつながります。しかも、共用部であれば、マンションの管理組合、入居者、管理人からのクレームとなり、後々厄介な(汗)事にもなります。

ベンガルが心がけていることとして、リフォームは「養生」に始まり、「クリーニング」に終わります。今回はそんな養生とクリーニングのポイントやトラブル等について書きたいと思います。

養生のポイント

養生とは?

辞書的に言うと、「家具の運搬や塗装作業などの際に、運搬物や周囲の汚損を防ぐために布や板などで保護すること。」ということになります。マンションリフォームでは、リフォーム工事による建物、既存の内装・設備、リフォーム後の内装・設備、家具・家電の汚損を防ぐ事が目的となります。

床養生のイメージ
床養生のイメージ
柱養生のイメージ
柱養生のイメージ

台車をエレベーターの壁にぶつける、工具を置いてキッチン天板を傷つける、工具をぶつけて建具枠を傷つける、塗装がはみ出しクロスを汚す、フローリングが細かいキズだらけ、お客様の大切なタンスがほこりだらけ…。想像したらきりがありません。そうならないために、しっかり養生しましょう!

養生する部位

【共用部】

マンション共用部の養生範囲はまずは管理人さんへヒアリングしましょう。マンションによって共用部位の養生する・しないが異なることがあります。

例えば、エントランスホールの床。台車が通るので、タイル等の床が傷つく恐れがありますよね。しかし、養生のためにブルーシートを張ると美観は台無し。外観上の観点から、管理人さんに養生しなくてよい、と言われる事もあります。しかし、「傷つけてもしょうがない」という事ではありませんので、養生はできないけど傷はつけられないという厳しいことに。。養生しない場合は、よくよく気を付けて荷物の搬入が必要となります。

その他マンション共用部の養生する代表的な部位としては、エレベーター扉枠、エレベーター内部壁、共用廊下、共用階段、廃棄物の仮置場、共用部を使用させていただく場合の作業場まわり等です。

エレベーター養生の注意ポイント
  • 扉枠はステンレスや石を使用していることがあります。傷つけたら修繕が大変!しかも非常に台車をぶつけやすい。台車のぶつかりに備えたしっかりめの養生が必要です。
  • 内部の壁は天井際まで養生しましょう。プラベニヤ等の養生材の長さが1.8mなので、1枚貼って終わりにすることが多々あります。その場合壁の上の方と天井の間は養生なしの部分が残ります。しかし、リフォーム材料は長物もありますので養生できていない部分の壁を傷つける恐れも十分にあります。よって、養生材をカットして、天井際まできっちり張ることが重要です。
  • 行先ボタンを汚れた手で触ることになります。ボタンが見えるように透明なシートをかぶせて養生する必要があります。また、非常用ボタン等を養生材で隠してしまわないようにしなければなりません
  • エレベーター壁に貼ってある掲示物も重要です。管理人さんに確認の上、養生した上に再度張ることも必要です。
  • 奥の壁にトランクが付いているエレベーターがあります。エレベーターのトランクは救急隊が使うストレッチャーが入るためのものです。いざ救急隊がトランクを使おうとした場合に、養生材で塞がっていると大変なことになります。そこで、養生材をトランクの扉の形に合わせて部分的に切り欠いて養生テープでつなぎ合わせておけば、いざというときには養生テープをはがすだけでトランクが使えます。これ、とっても忘れやすいのでご注意を!
トランク付きエレベータ
トランク付きエレベータ(東芝エレベータ株式会社様HPより)

【室内部位】

生活範囲と工事範囲をきっちり分ける

部分的なリフォーム、在宅リフォームでは、既存の内装と設備の養生をしっかりおこなわなければなりません。特に在宅リフォームではお客様の生活範囲と工事範囲をきっちり区画することが必要です。工事で出るほこりや木くず等がお客様の生活範囲に入らないように、マスカー等でカーテン状に完全に区画しましょう。

マスカー使用イメージ
マスカー使用イメージ

「木くずが生活範囲にはいっても後で掃除すればいいんでしょう」とお考えのあなた! 断言します! 「そんな事は不可能です!」 お客様の生活範囲は家具や家電等の家財がぎっしりあります。ほこりや木くずは非常に細かいので、どこまで入り込んでいくか分かりません。家具や家電などを移動しながら完全にリフォーム前の様になるまで掃除はできません。したがって、ほこりや木くずが生活範囲に入らないように防止することがなによりも大切なのです。

建具枠・床段差の部分の框・置き鏡などにも要注意

また、既存内装と設備の養生で忘れがちなのは、建具枠・床段差の部分の框・カウンター上・玄関にある鏡等です。工具や材料をぶつけたり、つい工具を置いたりして傷つけることがありますので養生が必要です。

リフォームした場所に物を置かない

リフォームした部位も次の工程に進む前に養生することが必要です。特に床やカウンターそして住宅設備。新しいフローリングを張ったその日に床養生しましょう。そして、新しいユニットバスやキッチンは道具置場になりがちです。ユニットバス屋さんやキッチン屋さんがダンボール等で養生はしてくれますが、養生していても「道具等を置くことは禁止!」が原則です。

【家具家電】

お客様の大切な家具家電が傷ついたり汚れたりするのを防ぐ必要があります。傷つけたり汚したりした場合、補修だけではすまず、新しいものを購入して弁償することとなってしまうこともあります。高額なソファ、テーブル、大型テレビ…考えただけでもぞっとします。リフォーム工事範囲にあるものはマスカー等で完全に覆いましょう。

養生資材いろいろ

ここでは、養生で使用する資材についてご紹介します。

プラベニヤ、エコフルガード

プラベニヤ、エコフルガード
エコフルガード(フクビ化学工業株式会社)

養生材と言ったら思いつくのがこれですね。カッターナイフで簡単に切れて加工できるので便利です。厚みもあるので傷つきやすい内装の床や、壁に使用します。

プラベニヤ

ブルーシート

ブルーシート
ブルーシート(フクビ化学工業株式会社)

共用廊下、共用階段、廃棄物仮置場まわり等に使用します。ロール状なので養生範囲が長い場所に便利です。長期間張りっぱなしだと剥がれたり、端がほつれたりするので張替えが必要となります。また、雨で濡れると滑りやすくなるので、使用を禁止されることもあります。その場合滑りにくいエンボス加工をしているシートを使うこともおすすめします。

ブルーシート

マスカー

マスカー

端にテープがついた半透明のビニールです。ロール状になっています。前述のお客様の生活範囲と工事範囲を区画する際にカーテンの様に垂らしたり、家具や家電を覆うのに使います。

マスカー

建具枠養生材

建具枠養生材
UFO®シリーズ(エムエフ株式会社)

建具枠養生の専用材です。U字型になっていて枠にカパッとはめるだけで、とっても便利です。

建具枠養生材

養生テープ

養生テープ

養生テープで重要なのは「テープの粘着力と張る場所に注意する」という事です。養生テープの粘着力は様々。粘着力の強い養生テープを既存フローリングに貼ると、はがした際にきれいにフローリングの表層が剥がれます。これって結構ビビります!したがって、弱粘着力のタイプ(よく使うのがテープ色がサクラ色や黄緑色)を使いましょう。

また、張る場所としては、塗装部位や古そうなシート張りおよびクロス張りの部位は危険です。一度目立たない箇所で張ってはがして表層が剥がれないかどうか試してみるのもよいと思います。お客様の大切なソファや木製家具は絶対やめときましょう。既存クロスに貼る場合はまずマスキングテープを捨て張りした上に養生テープを張ると安心です。また、サッシ、建具金物、樹脂等は表層が剥がれないので安心です。

養生テープ

養生に関するトラブル

ここでは、養生に関するトラブル事例をご紹介します。

エレベーター

壁をプラベニヤで養生した場合、プラベニヤは爪で簡単に落書きができるんですよね。入居者のいたずら書きだらけになって、管理人さんに「取り替えてくれ」と言われることがあります。また、リフォーム工事をしている職人おの見習い君が落書きしたこともあります。エレベーター内の監視カメラの録画で管理人さんが発見しました。「職人のマナーがなっていない!!」と理事長さんにこっぴどくお叱りを受けました…トホホ…。

エアコン

クロスの張替えをする際に既設のエアコンを一旦取り外し、クロス工事が終わってから再取り付けすることがあります。一旦取り外している時に、ただ床上に転がしているだけだと、再取り付けの際にホコリだらけ!という事になります。したがって、エアコンは必ずマスカーで覆いましょう。これはシーリング照明器具にもいえます。ちなみに、既設エアコンを壁につけたまま工事をする際も、壁についたたままでマスカーで覆いましょう。

思い出の家具

前述しましたが、家具養生を怠って、新品を購入して弁償することになってしまうことがあります。ただ、通常に販売しているものならそれも可能ですが、結婚記念とか旅行の思い出とか、お客様の思いがこもった家具があります。それはこの世でたったひとつしかありません。お金では買えないのです。これは大きなトラブルになり、例え金銭弁償したとしてもお客様の納得は得られません。ですので、養生は非常に大切で、「お客様の大切な家財は絶対に傷つけない」という思いで養生しましょう。

クリーニングのポイント

クリーニングの種類

リフォームにおいて、ひと言で「クリーニング」といっても大きく2つに分かれます。

  • 工事後清掃
  • ハウスクリーニング

この2つです。

工事後清掃は、リフォーム工事で汚れた個所を掃除することです。ユニットバスを交換する場合は、ユニットバスとその工事動線である洗面室、廊下、玄関等を掃除します。洋室のフローリングとクロスを張り替えた場合は、洋室内と同じくその工事動線である洗面室、廊下、玄関等を掃除します。工事後清掃では、工事該当箇所以外に掃除範囲を無駄に拡大しないように、養生が大切なのは前述の通りです。

ハウスクリーニングは、リフォームの該当箇所に関わらず、マンションのお部屋全体を掃除することです。仲介時にリフォームを行った場合は、ついでにお部屋全体のハウスクリーニングを依頼するお客様がとても多くいらっしゃいます。お部屋全体のクリーニングですから、窓回りや水回り等も行います。フロアコーティング、エアコンクリーニング、特にひどい汚れ落とし等は追加オプションとしているようです。

工事後清掃とハウスクリーニングは当然費用が異なり、ハウスクリーニングが高額となります。

クリーニングのポイント

大事なのは日々の清掃

リフォームにおけるクリーニングでまず一番大切なのは、「毎日の清掃」です。新築の建設現場でも同じですが、「きれいな現場は施工品質もよく、汚い現場は施工品質も悪い」とはよく言われることです。入れ替わり立ち替わり入室する複数の職人さんが、1日の作業が終わればその日の作業場をきちんと清掃し、工具は整理整頓しなければなりません。「作業は継続するんだから、最終日にまとめて掃除すればいいだろ。」という気持ちで掃除せず帰るようでは絶対によい品質のものはできあがりません。どの職種の方でも、掃除道具、ガラ袋は必需品です。

目の届かない場所も忘れずに

次に工事後清掃ですが、工事をしたフローリングやクロスの表層を掃除するのは当然です。しかし、工事で発生するホコリや木くずはどこまで飛散しているか分かりません。既存収納の中、キッチンの引き出しの中、換気ガラリ、窓サッシ・ガラス等必ず確認しましょう。特に引き出しの中や目の届かないキッチンレンジフードの上等は掃除し忘れることが多いです。たとえ、リフォームで発生した汚れではなくても、掃除してあげれば、お客様のためになりますよね!

共用部もしっかり掃除

また、共用部の清掃も忘れないように!外部で作業した場合、結構木くずなどの汚れは飛散します。また、よくあるのは廊下を養生しているブルーシートを固定したテープ跡。管理人さんからよく指摘されます。

ハウスクリーニングは多岐にわたる

最後にハウスクリーニングですが、これは既存の水回りや、窓サッシ・ガラス、レンジフードなどの換気扇、ガスコンロ等多岐にわたります。

クリーニング道具いろいろ

ここではプロの道具、というよりはちょっとした清掃道具と言う切り口でご紹介します。

メラミンスポンジ

メラミンスポンジ

ご存知「激落ちくん」に代表されるメラミンスポンジ。樹脂系、アルミ系、タイル系の汚れを落とすのに活躍します。

メラミンスポンジ

スクレーパー(へら)

スクレーパー(へら)

平面についた汚れをうすく剥ぎ取るのにあれば便利です。

スクレーパー(へら)

中性洗剤

中性洗剤

どんな建材にも使用でき、非常に用途の広い洗剤です。建材や人体を傷めることもなく安定しています。

中性洗剤

アルコール

いわゆる無水アルコール(無水エタノール)ですね。ちょっとした汚れ落としには非常に便利なので、結構みなさん持っています。

アルコール

歯ブラシ

サッシレールの掃除に役立ちます。サッシレールはマイナスドライバー+雑巾で掃除することもあります。

歯ブラシ

クリーニングに関するトラブル

ここでは、クリーニングに関するトラブル事例をご紹介します。主なトラブルは以下の三つになります。

あきらかな掃除不足

クリーニング関連では最も多いトラブルです。当然すべき箇所の掃除を不注意や忘れで、満足にできていなかったトラブルです。お客様から「こんな掃除なら俺でもできる!掃除代金返せ!」と言われ、最後の最後でお客様の信頼を失くしてしまいます。

クリーニング範囲

要は、業者の思っているクリーニング範囲と、お客様の思っているクリーニング範囲にギャップがある場合にトラブルが発生します。例えば、見積書に「工事後清掃」と記載があったとします。業者は当然、「工事で汚したところだけを清掃」という意味で記載しているのですが、お客様は「ハウスクリーニング」的に全体を掃除してくれるものと思っている場合があります。見積内容説明時にしっかり説明しましょう

また、ハウスクリーニングを行う際も、エアコン等の範囲外の事も説明しましょう。

クリーニングレベル

これは、「ハウスクリーニング」の際の、既存水回り設備等でよく発生するトラブルです。簡単に言うと、お客様は「クリーニングすれば新品同様になる」と思われる方がいらっしゃいます。長年使ったユニットバスはそうは簡単には汚れが落ちきれません。これも見積内容説明時に出来上がりレベルを説明しましょう。

おわりに

繰り返しになりますが、リフォームは「養生」に始まり、「クリーニング」に終わります。養生不足やクリーニングが下手だったことにより、トラブル、クレームになる事は決して珍しい事ではありません。トラブルとなり、お客様に呼びつけられて養生していない現場、また、クリーニングのできていない現場に行くと唖然とし、信じられない思いがします。

お客様目線を常に持って、きちんと養生・クリーニングをしましょう。それも間違いなく「リフォーム工事品質」の一部です! 

      
【参考文献】

()『 知っておきたいプロツールの基礎知識「COCOMITE vol.2」 p.569 pp.727-728 佐川印刷株式会社

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