目次
【安全靴の違いが一発で分かる】JIS規格とJSAA規格の主な違い
規格の違いをシンプルに説明するとこうなる!
ユージ
安全靴の規格がややこしいなぁ…。JISとかJSAAとか調べるのも面倒だけど、現場では安全面に配慮しないといけないし…。
ユージ
とりあえず先芯がはいってるのを買っとけばいいかな?
先芯が入っていれば安全靴だとは限らない!!
ケン・島津
ユージ
うお!びっくりした、ケンさんか。
ちょうどよかった、安全靴について詳しく教えてくれないかな?
いいぞ。しかし安全靴は詳しく説明すると眠くなるから、まずはポイントだけ話していく。
ケン・島津
JISとJSAAの違いだけ覚えれOKだ。その他は先芯があっても、強度がある丈夫な靴とでも思っておけばいい。
ケン・島津
リナ
JISとJISSAの違いをまとめた表を作成しました。
表を詳しく見る前に、大雑把に分けるとこんな感じです。
- 安全性について…JISのほうが高い
- オシャレ感・履き心地について…JSAAのほうが優れている
JIS規格 | JSAA規格 | |
---|---|---|
マーク | ||
決めている団体 | 日本工業規格 | 公益社団法人日本保安用品協会 |
商品名称 | 安全靴 | プロテクティブスニーカー プロテクティブブーツ |
イメージ | ||
分類 | ||
甲被素材の 種類 |
|
|
特徴 | 高い耐久性があり、多種多様な職場に対応できる高い安全性を有す | JIS規格と比較して、耐久性は劣るが、素材の自由度の高さによる多彩なデザインが可能 |
使用される 環境 |
JIS規格安全靴の着用が指定されている現場 重量物のつま先への落下や圧迫が懸念される現場など |
JIS安全靴程の強度・耐久性は必要ないが、ある一定程度の耐久力・強度が必要な現場 JIS安全靴と比較して軽量なため、動きやすさを重視する現場など |
ユージ
安全面に厳しく指定されている現場では安全靴、ある程度自由でOKならプロテクティブスニーカーを選べばいいってことだな!
更に話すと、JISやJSAAは重作業や軽作業でより細かく分類されている。
分類については後ほど説明していくので、興味がある場合は読み進めていってほしい。
ケン・島津
安全靴とは、JIS(日本工業規格)によって定められた性能を満たした靴にのみ付けられる名称です。
JIS T 8101(安全靴)において、「主として着用者のつま先を先芯によって防護し、滑り止めを備える靴」と定められていて、素材の種類や防護性能といった基準を満たし、JIS認可工場で生産され、性能試験に合格して初めて安全靴と呼ぶことができるのです。
つまり、「安全靴の着用指示」があった場合には必ずこのJIS規格に合格した靴を履かなければいけません。
ケン・島津
先芯が入った靴には、安全靴の他にプロテクティブスニーカーもしくはプロテクティブブーツという靴が存在する。
いわゆる、JSAA(公益社団法人日本保安用品協会)によって定められている規格ですね。
リナ
JIS規格安全靴ほどの耐久性はないものの、比較的軽量で、デザイン性に富んでいる靴です。特性上、軽作業を中心に使用されています。
リナ
ケン・島津
ちなみに、これら安全靴・プロテクティブスニーカーのも属さない製品が存在する。
それらは先芯があっても規格を通していないので、正確には安全靴ではないってことだな。
ユージ
規格の見分け方について
ユージ
JIS規格(安全靴)とJSAA規格(プロテクティブスニーカー)の違いはなんとなく分かった。
でも現場で安全靴を指定されたりされなかったりするけど、この2つはどうみ分ければいいんだ?
見分け方は非常にシンプルで、マークを見るだけだ。
実際に付いているマークをみていくぞ。
ケン・島津
安全靴には、靴底や中敷きなどに、JIS規格に合格していることを表すJISマークが必ずついています。
また、商品の箱やタグなどに「JIS T-8101 革製S種(普通作業用)合格品」というような記載があります。
一方のプロテクティブスニーカーには、ベロ裏に形式認定合格マークと種別が明記されています。
また、靴には黄色の形式認定合格品タグが付いています。商品の箱などには、プロテクティブスニーカーマークや「JSAA A種 合格認定」といった記載があります。
リナ
JISマークや形式認定合格タグの付いていない先芯入り靴は、どこの認定も受けていない靴となります。
認定を受けた靴と比べて、性能が劣ると考えられるので注意が必要です。
あー、なんか見覚えがあるマークだな(笑)
今度からマークもしっかりチェックして選ぶことにしようかな。
ユージ
規格のより細かい種類について
JIS規格の種類について
ケン・島津
JIS安全靴では、耐衝撃性能・耐圧迫性能・表面の剥離抵抗といった性能ごとに、作業用途に応じて3段階の分類分けがされている。
性能が高い方から、重作業用(H種)・普通作業用(S種)・軽作業用(L種)となっています。
ちなみに、日本では普通作業用(S種)が最も使われています。
リナ
耐衝撃性能についての比較
作業中などにつま先に重量物が落ちた時に、その衝撃から着用者のつま先を保護するための性能のことです。
耐圧迫性能についての比較
作業中などにつま先が重量物に押し付けられた時に、その荷重から着用者のつま先を保護するための性能のことです。
表面の剥離抵抗についての比較
表底と甲被の接着強度を表しています。
JSAA規格の種類について
ケン・島津
実はJSAAプロテクティブスニーカーの方でも、JIS規格に準拠した耐衝撃性能・耐圧迫性能・表面の剥離抵抗といった性能ごとに2段階の区分を設けている。
性能が高い方から、普通作業用(A種)・軽作業用(B種)となっています。素材の特性を十分に生かせる軽作業用(B種)が広く使われています。
リナ
- JSAA(A種) 普通作業用…安全靴JIS T 8101 S種の試験方法と同様の試験をクリア
- JSAA(B種) 軽作業用 …安全靴JIS T 8101 L種の試験方法と同様の試験をクリア
ケン・島津
上記のほぼ同じ試験をクリアしてるということから、こんな言い回しもされている。
JSAA(A種)はJIS(S種)相当品、JSAA(B種)はJIS(L種)相当品ってな。
JSAA規格はJIS規格と比べて、劣っているということでは無いんだな。相当品って言い方がなんともって感じだ。
規格を決めている団体が異なっているから、色々事情がありそうだ(笑)
ユージ
甲被素材の種類について
JIS規格の甲被素材
リナ
JIS安全靴では、甲被素材の種類は、革製か総ゴム製の2種類のみと定められています。また、安全靴はほとんどが革製になります。
革は頑丈な牛革となっており、厚さや性能についても基準が設けられています。
総ゴム製は長靴タイプの安全靴によく見られ、総ゴム製の中では耐油性ゴムと非耐油性ゴムの二つがある。
また、総ゴム製の場合は漏れ防止性の試験をクリアする必要がある。
ケン・島津
JSAA規格の甲被素材
リナ
JSAA規格(プロテクティブスニーカー)では革製・ゴム製の他に、人工皮革製・合成皮革製・編物製・プラスチック製といった多彩な素材の使用が認められています。
一定基準以上の耐久性を持つ素材が用いられますが、JIS安全靴ほどの耐久性はありません。
その分、加工の自由度が増すため、様々なデザインが可能となっている。
また、人工皮革や合成皮革・メッシュ材が主に使われているので、通気性もよく軽量であることが大きなメリットだ。
ケン・島津
JIS規格とJSAA規格の付加機能
リナ
作業環境に応じた付加機能を選ぶことで、作業の効率を上げることができますよ。
JIS規格によって規定されている項目だが、JSAA規格においても準拠されている。
JSAAプロテクティブスニーカーの主な付加機能について表にまとめたので、詳しく知りたい場合はチェックしてみて欲しい。
ケン・島津
項目 | 性能 | JIS規格 | JSAA規格 | 対応商品 |
---|---|---|---|---|
甲プロテクタの耐衝撃性 | 衝撃時の最低の高さ 25mm以上 |
M | なし | ≫対応商品 一覧 |
かかと部の衝撃エネルギー吸収性 | 吸収エネルギー 20J以上 |
E | ≫対応商品 一覧 |
|
耐踏抜き性 | 釘貫通時の力 1,100N以上 |
P | ≫対応商品 一覧 |
|
耐滑性 | 動摩擦係数 0.20以上 |
F | ≫対応商品 一覧 |
|
表示例 | JIS T 8101 革製H種 <重作業用>E・F合格 |
ピクトグラムまたは文字で表示 |
甲プロテクタの耐衝撃性
リナ
先芯により、つま先部分は重量物の落下などから保護されますが、先芯は足の甲部分まではカバーすることができません。
そこで登場するのが「甲プロテクタ」だ。
重量物の落下に対する防御力をさらに高めたい場合におすすめの付加機能となっている。
ケン・島津
甲プロテクタとは、その甲部分を保護するためのパーツのことを言う。
JIS規格においての甲プロテクタの耐衝撃性とは、100Jの衝撃エネルギーを与えた際に25mm以上の空間を確保する性能を有することとされている。
ケン・島津
リナ
ちなみに、JIS規格では記号Mで表されています。JSAA規格にはこの基準はありません。
かかと部の衝撃エネルギー吸収性
リナ
作業内容や現場によっては移動が多くなり、足への負担も大きくなります。
かかと部の衝撃エネルギー吸収性とは、歩行時の衝撃をどこまで吸収し負担を軽減できるかということになります。
JIS規格においてのかかと部の衝撃エネルギー吸収性とは、吸収エネルギー20J以上の性能を有することとされている。
JIS規格では、記号Eで表されている。JSAA規格では、衝撃吸収の文字アイコン、もしくはピクトグラムで表されているぞ。
ケン・島津
ユージ
現場内や現場間での歩き移動が多いと役立ちそうな機能だな。
耐踏抜き性
リナ
解体工事などの現場では、釘やとがったガラスなどを踏んで大けがをするという危険性もあります。
耐踏抜き性とは、それらの危険物による足裏へのけがをどの程度防ぐことができるかということです。
JIS規格においての耐踏抜き性とは、1,100N以上の釘貫通時の力に耐えることができる性能を有することとされている。
これは、おおよそ大型バイク0.5台分の荷重が釘の先端一点に集中した場合でも貫通しないということになるぞ。
ケン・島津
リナ
JIS規格では、記号Pで表されています。JSAA規格では、耐踏抜の文字アイコン、もしくはピクトグラムで表されています。
解体工事や産廃処理場などで作業するときに役立ちそうだ。
ユージ
耐滑性
リナ
濡れた床面での作業などの場合では、滑りによる転倒事故への対策も必要となります。
耐滑性とは、どれだけ滑りにくいか、ということになります。
JIS規格においての耐滑性とは、靴底の動摩擦係数0.20以上の性能を有することとされている。
JIS規格では、記号Fで表されている。JSAA規格では、耐滑の文字アイコン、もしくはピクトグラムで表されているぞ。
ケン・島津
ユージ
水や油で濡れているなどの現場で作業するときに役立ちそうだ。
JIS規格とJSAA規格の静電靴
リナ
JIS規格での静電靴は、安全靴(JIS T 8101)とは別の、JIS T 8103において規定されています。
基本的には別物ですが、両方の認定合格を受けた静電安全靴もラインナップされています。
JSAA規格での静電靴は、付加機能の一つとして規定されており、静電の文字アイコン、もしくはピクトグラムで表されている。
詳しくは表にまとめたので、必要に応じて確認して欲しい。
ケン・島津
JIS規格 | JSAA規格 | |
---|---|---|
商品名称 | 静電気帯電防止靴 | プロテクティブスニーカー プロテクティブブーツ |
帯電防止性能による区分 |
|
|
防護性能区分 | – | |
環境区分 | – | |
甲被素材の種類 |
|
– |
表示例 | JIS T 8103 EDX-P/C1合格(特殊静電靴) | ピクトグラムまたは文字で表示 |
安全靴の交換・買い替えの目安
ケン・島津
安全靴の買い替え/交換のタイミングについて話したいと思う。
一応公言されるような、お堅い基準からの話にはなるがな。
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所が定める「安全靴・作業靴技術指針 6.4廃棄基準 2006年10月」では、 以下の物が交換・廃棄の基準と定められています。
リナ
- はとめ、ボタンなどが脱落し、修理不能なもの
- かかとの腰革がつぶれたものや折れ曲がったもの
- 大きな衝撃を受けたもの
- 甲被が破れたもの
- 甲被の摩耗、破れなどにより先芯が露出したもの
- 表底が剥がれたもの
- 表底の損傷が著しいもの
- 表底の模様がなくなる程度に磨り減ったもの
ケン・島津
この中で3以外の項目は見た目で判断できる項目となる。
3の項目は一見して問題ない安全靴でも、一度大きな衝撃を受けた物は内部の破損などが考えられるので廃棄すべき、という考えがあるからだな。
まとめ
リナ
皆さまの安全靴やプロテクティブスニーカーに関する疑問が少しでも解消されたのでしたら幸いです。
またご質問などもお待ちしております!お気軽にお問い合わせください。