コンクリートバイブレーターの特長・選び方を解説

コンクリートバイブレーター

この記事は初心者の方にもおすすめです。

コンクリートバイブレーターとは

まだ固まっていない状態のコンクリート(生コン)の中に差し込み、振動を与えて気泡の脱泡を行い、コンクリートの強度を高め、固める機械です。

住宅の基礎や擁壁などのコンクリート打設、ブロック・排水溝・縁石といったコンクリート二次製品の製造など、様々な場所で使われています。

コンクリートバイブレーターの使用イメージ
コンクリートバイブレーターの使用イメージ

従来は、人力で型枠を木槌などで叩く、竹の棒でコンクリートを突き刺す、といった方法しかありませんでしたが、コンクリートバイブレーターの普及によって省力化と作業人数の削減、作業時間の短縮につながっています。(コンクリートバイブレーターが入らないような狭い場所や、構造上重要な場所では、従来の方法も併用されます。)

練られた直後のコンクリートは、大きさが異なる砂や砂利といった固体、粉体のセメント、液体である水、気体の空気泡と全く異質なものの混合物にすぎず、一応の形は成すものの、各物質どうしではそれぞれの摩擦力によって他の物質と混ざり合うことに抵抗しています。

そこでコンクリート打設では、練り混ぜたフレッシュコンクリートにバイブレータの適度な振動をあたえることで、フレッシュコンクリートが液状化し、コンクリート密度が高まり、不要な混入空気を除去され、骨材が均等に分布した「強度が高く、かつきれいなコンクリート構造物 (製品) 」が得られるのです。


※フレッシュコンクリート
練り混ぜ直後から、型枠内に打ち込まれて、凝結・硬化に至るまでの状態にあるコンクリートのこと。

引用元:EXEN 「なぜバイブレ-タを掛けるのか」

種類と選び方

それではさっそく、コンクリートバイブレーターの選び方について見ていきましょう。重要な点を項目ごとにまとめてみました。

形状で選ぶ

コンクリートバイブレーターの形状には、フレキシブル型電棒型パンチ型ヘラ型の4種類があります。それぞれ適した作業がありますので、作業に応じた選択が必要です。

フレキシブル型

フレキシブル型

ホース部分を自在に曲げることができるので、電棒型では入らないような場所でも作業が行えます。住宅のベタ基礎など、広く浅い場所にも向いています。

参考 フレキシブル型ビルディで商品を見てみる

電棒型

電棒型

フレキシブル型の柔軟性はありませんが、代わりに振動が少ない傾向にあります。鉄筋の多い立ち上がり部分などに向いています。

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パンチ型

パンチ型

気泡の抜けにくい法面部の気泡抜きや、狭い型枠の薄物製品の表面仕上げなどに最適なタイプです。テトラポットの製造やダムの壁面処理などにも使われています。

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ヘラ型

ヘラ型

型枠の薄い土留板・U字溝・棚板などの薄物コンクリート二次製品の製造に最適なタイプです。

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電源で選ぶ

コンクリートバイブレーターの電源には、AC100V電源式18V充電式14.4V充電式の3種類があります。

AC100V電源式

AC100V電源式

家庭用のAC100Vを電源として使用するタイプです。

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18V充電式

18V充電式

AC100V電源式では、現場でのコードの取り回しが悩みのタネになりますが、その悩みを解決するのが充電式です。AC100V電源式の機種よりも軽いので、更に使いやすくなっています。

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14.4V充電式

14.4V充電式

14.4V充電式の機種もあります。18V充電式よりもパワーは落ちてしまいますが、若干軽量化されています。

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36V充電式

36V充電式

充電式最大のパワーを誇るのが36V充電式です。HiKOKIのマルチボルトシリーズのみのラインナップになります。

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振動部直径で選ぶ

コンクリートバイブレーターの作業効率に大きく関わってくる要素が、振動部の直径になります。なぜならば、コンクリートバイブレーターの締固め有効範囲は振動部直径の約10倍とされているためです。

すなわち、振動部直径がφ25mmの機種では直径250mm、振動部直径がφ38mmの機種では直径380mmが締固め有効範囲ということになります。振動部直径が大きい機種ほど、コンクリートバイブレーターを打ち込む間隔を広く取ることができるため、作業時間を短縮することができます。

主なメーカーと代表機種

ここでは、コンクリートバイブレーターの主なメーカーと代表機種をご紹介します。

マキタ

マキタ

日本の電動工具のシェアトップメーカーで、豊富な充電工具のラインナップを持つ。コンクリートバイブレーターでも、もちろん18Vと14.4Vの充電式を展開。

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マキタ 18V充電式コンクリートバイブレーター 730mm VR350D

マキタ 18V充電式コンクリートバイブレーター 730mm VR350D
販売価格:¥61,123 (税込)
タイプフレキシブル型
振動数13,000回/分
電源18V充電式
振動部直径φ25mm
重量3.2kg
6.0Ahバッテリ2本で、約22.2㎥打設可能

気泡の少ない高密度・高品質なコンクリートの打設が行なえる。モルタルの侵入を防ぐバッテリカバー付で安心。2方向から引ける使い勝手の良いトリガで、打設する箇所によって持ち替えが可能。最適グリップとソフトグリップで、操作性を向上。作業可能深さ730mm。

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1,130mmの深さまで作業可能なVR450D

14.4V充電式仕様 VR340D/VR440D

マキタ コンクリートバイブレータ VR2806A/VR3206A

マキタ コンクリートバイブレータ VR2806A/VR3206A
販売価格:¥49,241 (税込)
タイプフレキシブル型
振動数15,000回/分
電源AC100V電源式
振動部直径φ28mm/φ32mm
重量5.0kg/5.2kg
アルミボディで2重絶縁

モーター部のみの販売もあります。また、別売でフレキアッセンブリもラインナップされており、作業にあった太さ・長さのフレキシブルホースを選ぶことができます。

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電棒型 VR281DL/VR321DL

バイブレーター別売品 フレキアッセンブリ

エクセン

エクセン

1915年創業で、振動応用技術を中心に産業機械・環境機器・建設機械などを手がける大手メーカー。コンクリートバイブレーターでも高いシェアを有す。

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エクセン バイブレーター 軽便電棒シリーズ

エクセン バイブレーター 軽便電棒シリーズ
販売価格:¥51,128~ (税込)
タイプ電棒型
振動数15,000~17,100回/分
(250~285Hz)
電源AC100V電源式
振動部直径φ23mm/φ25mm/φ28mm/φ32mm
重量4.9~6.3kg
アルミダイカスト製の二重絶縁、二重防振で高い安全性

様々な振動体部分の径や長さがラインナップされており、コンクリートの締め固め現場の状況や型枠の大きさ・深さ・背筋・生コンの条件にあわせて選定することができる。振動体部分は、4本のボルトを取り外すだけで簡単に交換可能。吸気口カバーとベアリングケース部分は、付着コンクリートが清掃しやすいフッ素樹脂コーティング仕様。優れた防振ゴム特性で、手元に優しく使い易い。モータ吸気口に防塵フィルターを採用し、現場の粉塵にも強い。

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フレキシブル型の軽便ベビーフレキシリーズ

エクセン コードレスバイブレータ(電棒タイプ) Cシリーズ

エクセン コードレスバイブレータ(電棒タイプ) Cシリーズ
販売価格:¥70,207~ (税込)
タイプ電棒型
振動数12,000回/分(200Hz)
電源18V充電式
振動部直径φ25mm/φ28mm
重量4.1~5.0kg
ゴムフランジの採用による優れた防振性能で、手元にやさしいバイブレーター。

コードレスなので、鉄筋が多く深いコンクリート打設で狙った場所に垂直に挿入してコンクリート打設ができるため、コンクリートの強度に優れた仕上がりを確保することができる。振動体部分は、4本のボルトを取り外すだけで簡単に交換可能。

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フレキシブル型 C28F0.6M

三笠産業

三笠

1937年創業で、建設機械を主に手がける大手メーカー。プレートコンパクターやコンクリートカッターが有名だが、コンクリートバイブレーターでも一定のシェアを有す。

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三笠産業 軽便バイブレーター MGX-23

三笠産業 軽便バイブレーター MGX-23
販売価格:¥43,890~ (税込)
タイプフレキシブル型
振動数15,500回/分(258Hz)
電源AC100V電源式
振動部直径φ23mm
重量4.2~5.8kg
アルミダイカスト型モーターケースで、軽量化と耐摩耗性を向上

安全性に優れたアース不要の二重絶縁モーターを搭載。ハンドル握り部を分割タイプにし、手が当たる部分に疲労を軽減する防振ラバーを採用。スイッチのレバー部及びストッパー部に耐摩耗性カバーを取り付け、コンクリートや水分の侵入を防止。フレキシブルホースは0.6m・1.0m・1.5m・2.0mから選択できる。

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振動部直径φ28mm仕様 MGX-28

振動部直径φ32mm仕様 MGX-32

三笠産業 電直バイブレーター前カバー密閉型 MGZシリーズ

三笠産業 電直バイブレーター前カバー密閉型 MGZシリーズ
販売価格:¥46,970~ (税込)
タイプ電棒型
振動数15,500回/分(258Hz)
電源AC100V電源式
振動部直径φ22mm/φ25mm/φ28mm/φ32mm
重量5.1~6.3kg
アルミダイカスト型モーターケースで、軽量化と耐摩耗性を向上

安全性に優れたアース不要の二重絶縁モーターを搭載。ハンドル握り部を分割タイプにし、手が当たる部分に疲労を軽減する防振ラバーを採用。スイッチのレバー部及びストッパー部に耐摩耗性カバーを取り付け、コンクリートや水分の侵入を防止。通常タイプとロングタイプをラインナップ。

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HiKOKI(旧 日立工機)

HiKOKI

国内ではマキタに次ぐ大手電動工具メーカー。充電工具の豊富なラインナップを有するが、コンクリートバイブレーターはAC100V電源式のみの展開。

【2020/05/21追記】HiKOKIから36Vマルチボルトのコンクリートバイブレーターが発売されました。

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HiKOKI(日立工機) マルチボルト36V コードレスコンクリートバイブレーター UV3628DA

HiKOKI(日立工機) マルチボルト36V コードレスコンクリートバイブレーター UV3628DA
販売価格:¥61,325 (税込)
タイプフレキシブル型
振動数12,000回/分(ノーマルモード)
15,000回/分(パワーモード)
電源36V充電式
振動部直径φ28mm
重量4.2kg
AC100V以上の作業能力

2段階のモード切替により、最適なパワーで作業することができ、バッテリーを効率よく運用できる。電池保護カバー付きで、電池接続部への生コンクリート付着による動作不具合を防止。トリガスイッチ防塵カバーにより、スイッチへの生コンクリート付着による動作不具合を防止。吸排気口に生コンクリートが付着しにくい設計。

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HiKOKI(日立工機) コンクリートバイブレーター UV

HiKOKI(日立工機) コンクリートバイブレーター UV
販売価格:¥39,896~ (税込)
タイプフレキシブル型
振動数15,000回/分
電源AC100V電源式
振動部直径φ28mm/φ32mm
重量3.7kg/3.8kg
AC100V電源式の中でも最軽量クラス

アースが不要な二重絶縁方式。

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使用上の注意点

ここでは、コンクリートバイブレーターを使う際の主な注意点について、解説します。

コンクリートの横流しをしない

横流しはNG
横流しはNG(マキタ取説より)

現場によっては、流し込んだコンクリートを、コンクリートバイブレーターを使って横に流す光景が見られることがあります。これを行うと、モルタル分だけが遠くに流れていき、流し込み部分には砂利などの粗骨材が残ってしまう、といった材料分離がおきてしまいます。こうなってしまうとコンクリートの強度低下に直結してしまいます。流し込んだ場所から無理に流すのではなく、まんべんなく流し込むようにしましょう。

等間隔で垂直に差し込んで使用する

等間隔で垂直に使用する
等間隔で垂直に使用する(マキタ取説より)

コンクリートバイブレータの締固め有効範囲は、振動部直径の約10倍となっています。振動が届かない場所が発生しないように、等間隔で垂直に差し込んで使用しましょう。振動部直径がφ25mmの場合には締固め有効範囲は直径250mmなので、250mm間隔で使用するといったイメージです。

また、引き抜くときも同様に垂直にゆっくりと引き抜くようにしましょう。特に、硬めの(スランプ値が小さい)コンクリートは、素早く抜いてしまうと、差し込んだ穴がポッカリと残ってしまいます

バイブレーターのかけすぎに注意

バイブレーターをかけすぎると、モルタル分だけが表面に上がってきて、砂利などの粗骨材が底に沈んでしまうという材料分離がおきてしまいます。バイブレータをかける目安は15秒程度とされていますが、コンクリートの質や配合によっても変わってきます。有効範囲以内ごとに等間隔に挿入して、コンクリート容積の減少(コンクリート表面の沈み込み)が止まり、表面にペーストが平均的に浮上して光を帯びたように見えてくれば締固めは終了です。

コンクリートに差し込んだまま電源を切らない

特に、硬めの(スランプ値が小さい)コンクリートの場合、差し込んだままで電源を切る(振動を止める)と、コンクリートバイブレーターが抜けなくなってしまうことがあります。引き抜くときは、必ず振動させたままで引き抜くようにしましょう。

空回しをしない

コンクリートバイブレーターは、コンクリートに差し込むことでモーターや振動部の冷却を行っています。空気中で空回しをしてしまうと、モーターや振動部が異常に加熱して故障の原因になります。

長時間使用しない

コンクリートバイブレーターは、振動を発生させる機械です。長時間の連続使用は振動障害などにつながりますので、30分に一度は休憩を取るなどの対策が必要です。

また、防振手袋を着用することも効果的です。

似ている機械

高周波バイブレーター

高周波バイブレーター(三笠産業カタログより)
高周波バイブレーター(三笠産業

インバーターで変換した三相48V電源で、240Hzの高い周波数を使うので高周波バイブレーターと呼ばれています。振動体の直径も標準でφ32~61mmとコンクリートバイブレーターより大きくなっており、よりパワフルにコンクリート打設作業をこなすことができます。ダム用の高周波バイブレーターなど、振動部直径がφ100mmを超えるような機種もあります。

マンションやビル、橋脚、貯水池、トンネル、ダムなど大型の建造物のコンクリート打設で用いられます。

一つの電源ユニット(インバーター)で複数のバイブレータを運用することができ、広い範囲の同時作業にも対応できます。

高周波バイブレーターの使用イメージ(エクセンカタログより)
高周波バイブレーターの使用イメージ(エクセンカタログより)

先端の振動部にモーターと振動振子がセットで搭載されているので、コンクリートバイブレーターの用にシャフトがなく、耐久性・効率性に優れており、48V三相誘導電動機なのでブラシ交換の必要もありません※1。また、手元に振動が伝わりにくいというメリットもあります。

※1 コンクリートバイブレーターは、手元のモーター部と先端の振動部を、フレキシブルシャフトや電棒でつないでいます。このフレキシブルシャフトや、電棒内部のコネクターやコネクティングロッドなどにより伝達ロスが生じます。また、高速で稼働する部品になるので摩耗や切れやすいといった面もあります。更に、100V整流子モーターや直流マグネットモーターを使用しているため、ブラシの交換が必要になります。

高周波バイブレーターは、上の使用イメージのように、操作する作業員と電源の操作やコードの取り回しを行う補助人員が必要なため、最低2人以上いないと使うことができません。高周波バイブレーターを単相100V式や充電式にして手軽に運用できる1人用の機械にしたものがコンクリートバイブレーター、ということもできます。そのため、コンクリートバイブレーターのことを軽便バイブレーターと呼んでいるメーカーもあります。

壁打ちバイブレーター

壁打ちバイブレーター

コンクリートバイブレーターは、生コンの中に差し込んで使用しますが、壁打ちバイブレーターは型枠の外から振動を与える機械になります。コンクリートバイブレーターが入らないような箇所や、窓枠など複雑な形状の箇所で、コンクリートをしっかりと細部まで充填するとともに、気泡の脱泡を行い、コンクリートの締固めを行います。

壁や柱などの表面仕上げにも、優れた効果を発揮します。

壁打ちバイブレーター使用イメージ
壁打ちバイブレーター使用イメージ
MEMO
型枠の外から振動を与えるので、外部振動型に分類されます。一方で、コンクリートバイブレーターや高周波バイブレーターなど、コンクリートの内部に差し込んで使うタイプは内部振動型に分類されます。

おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。コンクリートバイブレーターの特長・選び方を解説、いかがでしたでしょうか。皆さまの機種選びのお役に立てば幸いです。またご質問などもお待ちしております! お気軽にお問い合わせください。

【参考文献】

()『 知っておきたいプロツールの基礎知識「COCOMITE vol.2」 p.540 佐川印刷株式会社

【参考サイト】

」, エクセン株式会社 (2019年12月13日閲覧)

」, 三笠産業株式会社 (2019年12月13日閲覧)

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