この記事は初心者の方にもおすすめです。
目次
油圧パンチャーINDEX
油圧パンチャーは電動式と手動式の2つに大別されます。知りたい方式が決まっているという方はこちらのボタンからどうぞ☟
油圧パンチャーとは
- 油圧パンチャーとは、油圧の力を利用して、鋼材や鋼板に穴をあける工具です。
- イメージとしては、事務用品の穴あけパンチを金属用に強力にしたものになります。構造的にもほぼ同じです。
- AC電源やバッテリーの動力で油圧ポンプを動かす電動式と、手動で油圧ポンプを動かす手動式の2種類があります。
- 鉄工用ドリルやホールソーなどでの穴あけと比べて、静かですばやく綺麗な穴あけができます。また、ドリルやホールソーでは細かい切り粉が出るので掃除が大変ですが、パンチャーは1個の穴で大きい抜きクズ1個しか出ず、掃除が楽になります(穴あけパンチで紙に穴を開けた後の紙ゴミのような、丸い抜きクズになります)。
【電動】油圧パンチャーの特徴・種類と選び方
小型電動油圧ポンプにより、高出力でスピーディに鋼材への穴あけをすることができます。
使用頻度が高く連続して大量の穴あけをするという方には、最適な工具になります。
本体の構造と用途の違い
電動油圧パンチャーは、本体の構造の違いや用途によってスタンダードタイプ・ノッチングタイプ・フリータイプの3種類に分けられます。
スタンダードタイプ
- 一般的に、電動油圧パンチャーといえばこのタイプを指します。
- 溝形鋼(チャンネル)、山形鋼(アングル)、平鋼(フラットバー)、H形鋼等の穴あけに使われます。最もパワフルな機種になると、厚さ12mmの鋼材に径24mmの穴を開けることができます。
- センター付ワーク受けを使用することで、加工する穴の中心を簡単に確認することができます。
- ポンチ・ダイスの2種類の替刃を使って穴あけを行います。ポンチ・ダイスは穴あけサイズごとにセットで運用され、これを交換することで様々なサイズの穴あけが可能になります。丸穴用のポンチ・ダイスと、長穴用のポンチ・ダイスがあります。
- ステンレス材に穴あけを行う場合には、ステンレス用のポンチ・ダイスが必要になることがあります。
- オグラ・育良精機・亀倉精機・IKK・日東工器などが製造しています。
複動式と単動式(スタンダードタイプ)
複動オートリターン機構(複動式)を搭載している機種は、ピストンの下降(打ち抜き)及び上昇(抜き上げ)両方に油圧を使用しパンチャーと材料をスムーズに引き離すので、作業効率がよりアップします。一方で、ピストンの下降(打ち抜き)のみに油圧を使用するタイプは単動式と呼ばれ、打ち抜き自体は複動型同様に行えますが、刃が噛み込んだときなどにハンマーで叩くなど手動で取り外す必要があります。
最近の機種では、ほとんどが複動式を採用しています。
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首折れ型(スタンダードタイプ)
モーター部が折れ曲がり、狭い場所での作業を可能にしたバリアフリータイプもラインナップされています。
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ノッチングタイプ
配電盤などの板金物のケガキ(穴の修正)、穴あけ用です。刃物で切り抜くため切り粉が出ず、仕上げ面も良好で、短時間での作業が可能です。
先端のアタッチメントを交換することで、丸穴の長穴化・角穴の拡大・丸穴の角穴化・穴あけなどに対応できます。
板金への施工用なので、スタンダードタイプとは違って、厚めの鋼材へは使用できません。対応できる厚みは、最大でも3.2mm程度となります。一方で、下穴は必要になりますが、50mm径や70mm径といった大口径の穴あけが可能です。
西田製作所が製造しています。
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フリータイプ
配電盤などの板金物の穴あけ専用です。ノッチングタイプ同様刃物で穴を抜くので、切り粉が発生せず、仕上げ面も良好で、短時間作業が可能です。
板金への施工用なので、スタンダードタイプとは違って、厚めの鋼材へは使用できません。対応できる厚みは、最大でも3.2mm程度となります。一方で、下穴は必要になりますが、75mm径や104mm径といった大口径の穴あけが可能です。
西田製作所・泉精機が製造しています。
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フリータイプでの穴あけは以下の手順で行います。ノッチングタイプでの穴あけも同様です。
手順1 軸をセットする
本体に軸を取り付けます。
手順2 メス刃のセット
軸に、開けたい穴のサイズに応じたメス刃をセットします。
手順3 ワークにセット
下穴を開けたワークに軸を差し込みます。この際に、軸より2mmほど大きな径の下穴をあけることがベストです。軸がφ10mmの場合はφ12mm、軸がφ19mmの場合はφ21mm、軸がφ24mmの場合はφ26mmの下穴を開けましょう。
手順4 オス刃のセット
最後にオス刃をセットします。
手順5 穴あけ開始
工具本体を操作して穴あけを開始します。
手順6 穴あけ完了
穴あけ完了です。
電源の種類
電動式パンチャーの電源は、AC電源式と充電式の2種類に分けられます。
AC電源式
AC電源式(単相100V)の電動油圧パンチャーです。電源があるところではパワフルで安定した作業が可能です。このタイプは、ワークスタンドが付いていることが多くなっているので、大量の穴あけをこなす場合に最適です。
こちらのボタンから、AC電源式のおすすめ機種をご覧いただけます☟
充電式
充電式の電動油圧パンチャーです。18Vバッテリー式と36Vバッテリー式の2種類があります。電源がない現場や、高所作業などで活躍します。以前はほとんどがAC電源式でしたが、バッテリー性能の進化により、徐々に普及しつつあります。
充電式油圧パンチャーは様々なメーカーから発売されていますが、ほとんどのメーカーがHiKOKIかマキタのバッテリーを採用しています。どちらかの充電工具を使用しているのであれば、導入しやすいでしょう。
バッテリー | 採用メーカー |
---|---|
HiKOKIバッテリー | 亀倉精機・育良精機(36V機)・IKK・西田製作所 |
マキタバッテリー | オグラ |
独自バッテリー | 泉精機・育良精機(18V機) |
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選び方
電動油圧パンチャーの選び方について、重要な点を項目ごとにまとめてみました。
電源で選ぶ
AC電源式・18V充電式・36V充電式から選ぶことができます。
最大穴あけ能力で選ぶ
電動油圧パンチャーは機種ごとに最大穴あけ能力が決まっています。この最大穴あけ能力とは、何ミリ径までの穴をあけられるかということです。主流はφ15m・φ20mmになります。最大の機種では、φ24mmに対応します。
基本的に、最大穴あけ能力以下の穴あけはほぼ全て可能です。(最小穴あけ能力はメーカーや機種によって少し異なりますがφ3.2~6mm程度になっています。)
最大穴径の他にも、最大加工板厚も重要になります。穴径とあわせて確認してください。
加工材料目安で選ぶ
電動油圧パンチャーには、取り付けられる替刃の種類や本体の構造によって加工できる鋼材が決まっています。加工したい鋼材の形状を確認してください。
機能で選ぶ
電動油圧パンチャーの機能には、複動式・首折れがあります。
【電動】油圧パンチャーのおすすめ機種
おまたせしました。それでは早速、おすすめ機種をご紹介します。まずはAC電源式です。
AC電源式
オグラ 電動油圧式パンチャー 複動式 HPC-N209W
最大穴あけ能力 | φ20mm |
---|---|
最大加工板厚 | t9mm |
機能 | 複動式 |
重量 | 11.3kg |
イクラ 電動油圧式ミニパンチャー IS-14MPS
最大穴あけ能力 | φ14mm |
---|---|
最大加工板厚 | t6mm |
機能 | – |
重量 | 6.6kg |
亀倉 ポートパンチャー 複動式 RW-M2A
最大穴あけ能力 | φ20mm |
---|---|
最大加工板厚 | t9mm |
機能 | 複動式 |
重量 | 10.5kg |
オグラ 電動油圧パンチャー 複動式 HPC-2213W
最大穴あけ能力 | φ24mm |
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最大加工板厚 | t12mm |
機能 | 複動式 |
重量 | 28.5kg |
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充電式
こちらは充電式のおすすめ機種です。
18V
オグラ コードレスパンチャー 複動式 HPC-N208WDF
最大穴あけ能力 | φ20mm |
---|---|
最大加工板厚 | t8mm |
機能 | 複動式 |
重量 | 10.7kg |
マキタ 充電式パンチャー 複動式 PP200DRG
最大穴あけ能力 | φ20mm |
---|---|
最大加工板厚 | t8mm |
機能 | 複動式 |
重量 | 10.7kg |
イクラ 18V充電式パンチャー IS-MP15LX
最大穴あけ能力 | φ15mm |
---|---|
最大加工板厚 | t6mm |
機能 | – |
重量 | 5.7kg |
オグラ コードレスパンチャー HPC-NF209WBL
最大穴あけ能力 | φ20mm |
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最大加工板厚 | t9mm |
機能 | 複動式・首折れ |
重量 | 12.4kg |
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36V
イクラ 電動油圧充電式複動パンチャー 36V 軽量型 ISK-MP15LF
最大穴あけ能力 | φ15mm |
---|---|
最大加工板厚 | t6mm |
機能 | 複動式 |
重量 | 7.8kg |
普段はばねの力でスピーディに戻り、噛みこみ時は油圧の力で戻るハイブリッド完全複動式を採用し、ストレスなく作業が可能。ケガキ線が見えるのぞき穴を装備。モーター部は360度回転するので、常に握りやすいトリガーポジションを維持できる。HiKOKI製マルチボルトバッテリーが使用可能。
IKK 36V コードレスパンチャー EPC-1525BLH
最大穴あけ能力 | φ15mm |
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最大加工板厚 | t6mm |
機能 | – |
重量 | 6.2kg |
イクラ 36V 電動油圧充電式複動パンチャー ISK-BP20LF
最大穴あけ能力 | φ20mm |
---|---|
最大加工板厚 | t9mm |
機能 | 複動式・首折れ |
重量 | 12.8kg |
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【手動】油圧パンチャーの特徴・種類と選び方
手動油圧パンチャーは3.2mm以下の厚さの板金物に、穴径φ20mm以上の穴を抜く際に使われます。手動式ではありますが、油圧を利用して穴あけを行うので力は要りません。
電設管を使う工事に用いられることが多く、替刃のサイズも電設管のサイズに準拠していることが多くなっています。また、電設管の規格に対応した薄鋼電線管(C管)用セット・厚鋼電線管(G管)用セットといった本体+替刃のセット品も多くラインナップされています。
電動式に比べて軽量で取り回し性に優れているので、手軽に持ち運んで作業をすることができます。使用頻度が少なく、作業スピードもそこまで重視しないのであれば、手動式がおすすめです。
本体の構造と用途の違い
手動油圧パンチャーは、本体の構造の違いや用途によってフリータイプ・ホースタイプ・ケガキ専用タイプの3種類に分けられます。
フリータイプ
標準的な手動油圧パンチャーです。パネル・ボックスなどあらゆる業種の鋼板の穴加工に使用されます。
電動油圧パンチャーのフリータイプの手動版です。
ホースタイプ
フリータイプの先端部分を分離し、ホースで接続したタイプです。狭い場所や加工しにくい場所でも簡単に作業が行なえます。
ケガキ専用タイプ
すでに空いている穴の形を修正(ケガキ)するためのパンチャーです。丸穴を長穴や角穴に加工したり、角穴を長角穴に加工したりすることができます。
電動油圧パンチャーのノッチングタイプの手動版です。
選び方
電設・管工事で電設管を扱うのであれば、電設管用の替刃がセットになったホースタイプがおすすめです。
ダクトチャンネル・レースウェイ・パイプハンガーへの穴あけを行いたい場合には、専用のパンチャーがあります☟ビルディでCHECK
【手動】油圧パンチャーのおすすめ機種
泉精器 手動油圧式パンチャー SH-5PDG
最大穴あけ能力 | φ115mm |
---|---|
最大加工板厚 | t3.2mm |
重量 | 2.4kg |
泉精器 手動油圧式パンチャー SH-10-1シリーズ
最大穴あけ能力 | φ115mm |
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最大加工板厚 | t3.2mm |
カクタス カクタスパンチ SKP-4型 油圧式鋼板穴あけ機
最大穴あけ能力 | φ115mm |
---|---|
最大加工板厚 | t3.2mm |
マーベル 薄鋼用 油圧フリーパンチ MOP-1C
最大穴あけ能力 | φ115mm |
---|---|
最大加工板厚 | t3.2mm |
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主なメーカー
ここでは、油圧パンチャーの主要なメーカーについてご紹介します。
オグラ
育良精機
2007年創業。産業向け機器を手掛ける省力機器事業部と、工事現場向け機器を手掛ける工具事業部を有す。溶接機・溶接関連品や電動油圧パンチャーを中心に数多くの製品をラインナップ。
IKK
亀倉精機
西田製作所
1933年創業の油圧工具・産業機械メーカー。パンチャーや圧着機を中心にラインナップ。充電式のノッチングパンチは西田製作所のみ。
日東工器
泉精機
カクタス
ロブテックス
マーベル
圧着工具やケーブルカッターなどを手がける電設工具の総合メーカー。某映画会社と同じスペルだが全くの別物なので、マーベルのポーチやバッグなどを購入する際にはお間違えの無いように。
マキタ
HiKOKI(旧 日立工機)
油圧パンチャーのメンテナンス
オイルの補充
油圧パンチャーは、その名前の通り作動に油圧を必要とします。オイルが減ってきた場合は、穴あけ能力が低下したり、穴あけ速度が遅くなったりします。こういった症状が出てきた場合には、オイルの補充が必要になります。
夏場や冬場に穴あけ能力が低下したり、動きが遅くなることがあります。この場合はオイル不足以外にオイルの過熱・過冷が原因として考えられます。
オイルは冷えすぎると粘度が上がり、温まりすぎると粘度が下がります。この状態では油圧が低下するので、穴あけ能力が低下したり、動きが遅くなってしまいます。
冷えている場合は暖機運転、温まリ過ぎている場合には少し休ませるなどして、オイルの温度を適正な範囲に調整して下さい。
オイル補充手順例(電動式の場合)
手順1 本体を寝かせる
パンチャー本体を静かに横にして、注油口が真上を向くように寝かせます。このときに下に柔らかい布を敷いておくことで、位置を安定させることができ、本体に傷がつくことを防ぐことができます。
手順2 パンチャーに負荷をかける
最大能力の板厚の材料をセットして、パンチ先端が材料に少し押し当たる程度の負荷をかけたところでスイッチを切り、ピストンをそのまま停止させます。
手順3 オイルを補充する
注油口のボルトを緩めて外し、純正の補充オイルを注油口ギリギリまで注油します。その後、ボルトをしっかりと締めます。
純正オイル以外のオイルを使う場合には、グレード#46(VG46)や#32(VG32)といったオイルが使用できます。必ず取扱説明書でメーカーの指定グレードのオイルを確認してください。
手順4 穴をあける
パンチャーを起こして、手順2の材料にそのまま穴あけをします。
手順5 オイル量を確認する
手順2の操作をもう一度行い、再度注油口のボルトを外し、オイルが減っていないかを確認します。減っている場合には、手順2~4の操作を数回繰り返して、満タンになるように注油を行います。
手順6 清掃をする
満タンになったら、注油口のボルトをしっかり締め、飛び散ったオイルなどがあればしっかりと拭き取ります。
おすすめオイル
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油圧パンチャーのポンチ・ダイスについて
油圧パンチャーは、ポンチ・ダイスを交換することで、様々な径の穴をあける事ができます。また、ポンチ・ダイスは消耗品なので、穴あけ作業を繰り返すことで摩耗・変形・欠けなどが生じてきます。メーカーの目安として、材料を800回以上穴あけしたら特に注意が必要です。消耗がひどい場合には、新しい替刃に交換しましょう。
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おわりに
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。【電動式・手動式】油圧パンチャーの特長・選び方とおすすめ機種を解説、いかがでしたでしょうか。皆さまの機種選びのお役に立てば幸いです。またご質問などもお待ちしております! お気軽にお問い合わせください。
・ トラスコ中山株式会社 ( 2014 )『 知っておきたいプロツールの基礎知識「COCOMITE vol.2」 』 pp.434-435 佐川印刷株式会社
【参考サイト】・ 株式会社オグラ 「 設備関連機器 製品一覧 」, 株式会社 オグラ (2019年10月03日閲覧)
・ 育良精機株式会社 「 建設・設備 ラインナップ 」, 育良精機株式会社 (2019年10月03日閲覧)
・ 株式会社IKK 「 油圧パンチャー 」, 株式会社IKK (2019年10月03日閲覧)