この記事は初心者の方にもおすすめです。
目次
ダイヤモンドコアドリルってどんな工具?
ダイヤモンドコアドリルの特徴
- 回転する円筒形のコアビットを用いて、コンクリートや石材、鉄筋コンクリートなどに円筒状の穴を開ける工具です。
- 回転のみで穴を開けることができるので、低騒音・無振動での作業が可能です。
- 小型のものは、エアコンや換気扇などの取り付けのための貫通穴あけや、水道管・ガス管の配管のための貫通穴あけ、エクステリア工事でのポール用の縦穴などの穴あけ、アスファルト施工後のコア抜きによる密度調査、などに用いられます。
- 大型のものになると、縦4m×横4mで長さ15mにもなるトンネルの穴あけにも用いられます。(この場合は一度に穴を開けるわけではなく、ダイヤモンドコアドリルの穴同士をつなげてトンネル状に切り抜きます。)
- 穴あけ方法としては、水を使った湿式が主流ですが、乾式に対応した機種もあります。湿式は、給水システムによってコアビット内部に注水しながら穴あけを行います。乾式は集じん設備を使うことでコアビット内部から切り粉を吸引でき、粉塵を出さずに作業が可能です。湿式と乾式のメリット・デメリットについてはこちらをご覧ください。
- 軽量のため、持ち運びが楽です。
- メーカーによっては、ダイヤモンドコアドリルの他にダイモドリル・コアドリルなどとも呼ばれています。
30mm以上の穴あけは、ドリルビットを使用するよりも、必要な穴径の外形部分だけを穿孔するコアドリルが効率的です。
種類と選び方
それではさっそく、ダイヤモンドコアドリルの選び方について見ていきましょう。重要な点を項目ごとにまとめてみました。
ポールベース固定式か、手持ち式か
ダイヤモンドコアドリルは、ポールベース固定式と手持ち式の2種類に分けられます。更に、ごく一部ですが、ポールベース固定式と手持ち式の機能を合わせ持ったハイブリッド式があります。
ポールベース固定式
ダイヤモンドコアドリルはほとんどの機種がこのポールベース固定式になっています。このタイプは、ベースを床面や壁面に固定して使用することができるので、精度の高い穿孔が可能です。
手持ち式であれば、本体がぶれないようにしっかりと保持しつつストロークしていくというきつい作業になりますが、ポールベース固定式であれば、レバーを回すだけになり、簡単に作業が行なえます。
手持ち式と比較して重作業向けという位置づけになるので、耐久性にも優れています。本格的に穿孔作業をするのであれば、ポールベース固定式を選びましょう。一方で、初期導入コストは高めになります。
手持ち式
手持ち式はベースによる固定ができないので、人力で本体を保持する必要があります。精度の問題もあるので、深い穴開けや長時間の作業には向きません。
床面や壁面が薄く、ポールベースを固定できない場合や、短時間の数本の浅い穴あけなどには手持ち式がおすすめです。また、手持ち式のほうが導入コストを抑えることができます。
ハイブリッド式
手持ち式の本体を、ポールベースに固定できるようにしたタイプです。両方のメリットを合わせ持ちますが、その分構造が複雑になるため、価格も上がってしまいます。
ビット取付け規格で選ぶ
ダイヤモンドコアドリルは、コアビットを取付けて使用する工具です。このコアビットの取付けには規格があり、M27・M18・Aロッド・Cロッド・G1/2といったネジ式になっています。ドリル軸の種類が、6.35六角軸やストレート軸、SDS軸などに分けられているのと同じイメージです。
G1/2ネジは小型の機種に、M27やM18、Cロッドネジは小型~中型の機種に、Aロッドネジは中型~大型の機種に採用されています。
本体がAロッド規格、コアビットがM27規格といった場合などでは取付けできませんので、注意が必要です。ただし、こちらもドリル軸同様に規格を変換するレジューサーが販売されており、異なるネジ規格同士でもレジューサーを使用すれば取り付け可能です。
ダイヤモンドコアドリルのビット取付け部分がネジ式である理由
ダイヤモンドコアドリルのビット取付け部分が、ハンマードリルやドリルドライバーなどの軸と違ってネジ式になっているのは、軸内部の空間を使って給水や吸塵をするためです。
六角軸やSDS軸などは完全に棒状なので、当然給水・吸塵は行なえません。一方、内部が管状になっているAロッドやM27といったネジタイプであれば、ネジ込むことでしっかりと固定・密着でき、軸内部から給水・吸塵を行うことができます。
上の図は、乾式での集じんイメージです。赤い矢印が集じんの向きになります。湿式の給水はこの矢印が逆になるイメージです。
ネジ規格一覧
レジューサー一覧
最大穴あけ寸法で選ぶ
ダイヤモンドコアドリルは機種ごとに最大穴あけ寸法が決まっています。60mmクラスの機種から400mmを超えるものまで様々なラインナップがあり、用途に合わせて選ぶ必要があります。開けたい穴径を確認して下さい。
基本的に、最大穴あけ寸法以下のビットはほぼ全て使用可能です。(最小穴あけ寸法はネジ規格や機種によって少し異なります。)
200mm以上の機種になると、一般的な単相100V電源ではなく、単相120Vや単相230Vの電源が必要になることがあります。使用する場所の電源環境を確認して下さい。
ビットサイズの主流は65mm・120mm・160mm・180mmなどとなっています。各種パイプごとの最適なビット径は下の表をご参考下さい。同じ枠内にビットサイズが2つある場合(120・130など)の大きい方のサイズは、斜めにパイプを挿入したり途中で曲げたりする際に最適なビットサイズになります。
最大穴あけ寸法一覧
湿式か、乾式か
ダイヤモンドコアドリルは湿式のものが多くラインナップされていますが、一部乾式のものもあります。湿式と乾式はそれぞれメリットデメリットがあるため、用途や環境に合わせて選ぶ必要があります。
一部機種では、アタッチメントの交換で湿式・乾式の両方に対応できます。
湿式のメリット・デメリット
湿式のメリット
- 熱を抑えられるため、コアビットが長持ちする
- 熱を抑えられるため、高速で穿孔できる
- 水による潤滑効果で、精度が向上する
湿式のデメリット
- 貫通させる場合には、裏部分の養生が必要
- 給水設備の用意に手間がかかる
- 切削汚泥水の処理に手間がかかる
乾式のメリット・デメリット
乾式のメリット
- 水を使えない現場でも使用できる
- 天井付近など逆さの状態でも使用できる
- 湿式に比べて手軽に使用できる
乾式のデメリット
- ビットが熱を持つため、消耗が早くなる
- ビットが熱を持つため、穿孔速度が遅くなる
- 粉塵が出るので、集じん設備が必要になる
自動送りも可能です
別売の自動送り装置や、自動送り機能付き仕様を選ぶことで、手動ではなく自動でドリルのストロークが可能になります。一定の速度で作業したい場合や、作業をより効率化したい場合におすすめです。
種類によっては、コンクリート内の鉄筋を検知して自動停止する機能を備えているものもあります。
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主なメーカー
ここでは、ダイヤモンドコアドリルの主要なメーカーについてご紹介します。
シブヤ
コンセック
マキタ
エクセン
IKK
HiKOKI(旧 日立工機)
おすすめのダイヤモンドコアドリル
おまたせしました。ここではビルディイチオシのおすすめ機種を3機種ご紹介します。
シブヤ M27 ダイモドリル 最大穿孔径130mm TS-095
最大穿孔径 | 130mm |
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ネジ規格 | M27 |
穿孔方式 | 湿式 |
電源 | 単相100V |
消費電力 | 1,500W |
全高 | 564mm |
重量 | 8.1kg |
基本性能をそのままに、機能性を更にアップ。従来機種と比較して作業時間を20%短縮。新サーキットプロテクタにより、従来機と比較してプロテクタ作動後でもストレスなく作業が開始できる。クラッチ機能内蔵で、ビットロック時のギア破損を防止。130mmまで対応の排水処理パッド・持ち運びに便利な収納ケース付。
コンセック ★限定特価 φ65ビット1本サービス★ 湿式コアドリル Cロッドねじ SPJ-123C+B
最大穿孔径 | 160mm (常用:14.5~120mm) |
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ネジ規格 | Cロッド |
穿孔方式 | 湿式 |
電源 | 単相100V |
最大出力 | 1,500W |
全高 | 580mm |
重量 | 8.2kg |
メーカーから発売されているSPJ-123C(ビット無し)に、φ65のビットを1本サービスしたビルディオリジナルセット。大径冷却ファンを装備、モータハウジングのスリム化により抜群な冷却効率を実現したねばりのあるモータを搭載。ウレタンホース付給水コックを採用し、方向性の自由度を高め、ビット回転部から離れた位置での給水操作が可能。120mmまで対応の排水処理パッド・持ち運びに便利な収納ケース付。
マキタ ダイヤコアドリル(ビット別売) M27ネジ DM122
最大穿孔径 | 160mm (常用:14.5~120mm) |
---|---|
ネジ規格 | M27 |
穿孔方式 | 湿式 |
電源 | 単相100V |
消費電力 | 1,330W |
全高 | 580mm |
重量 | 8.3kg |
交換用ビット・部品について
ビルディでは、ダイヤモンドコアドリルのコアビットや部品も取り扱っています。必要な方はこちらでお買い求め下さい。
交換用ビット
ビットについて
ダイヤモンドコアドリルのコアビットには、薄壁用の一体式コアビットと、厚壁用の三点式コアビットがあります。三点式コアビットはビット・チューブ・カップリングで構成されており、チューブをつなぎ足すことで深い穿孔が可能です。
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部品
部品について
支柱やベース、排水処理パッド、レジューサ―、給水タンク、スイベル、自動送り装置などがあります。
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油圧式のダイヤモンドコアドリルもあります
電気モーター式ではなく、油圧モーター式のダイヤモンドコアドリルもラインナップされています。油圧式は大型の機種が多く、最大クラスの機種になると800mmの穿孔が可能です。
本体だけでは動かすことができないので、別途油圧ユニットも購入する必要があります。コストは非常に高くなってしまいますが、圧倒的な穿孔力が魅力です。
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【番外編】ダイヤモンドコアドリル以外でのコア抜き作業
ドリルドライバーや電気ドリル、ハンマードリルなどでも、手持ち式ダイヤモンドコアドリルと似たような作業ができます。しかし、これらの電動工具でコンクリートのコア抜きを行うには特殊で高価なコアドリルが必要になります。電動工具本体もダイヤモンドコアドリルと違ってコア抜きに特化した性能にはなっていないので、余計な負荷をかけてしまい、寿命を削ってしまうことになります。なので、これらの電動工具でのコンクリートへの穴あけはおすすめできません。1~2本程度の浅い穴あけで、簡易的な作業なら許容範囲かと思われます。
エアコン等のダクト穴あけで、サイディングの壁に対して使用するのであれば、ドリルドライバーや電気ドリルなどでも十分効果的です。
終わりに
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。ダイヤモンドコアドリルの特徴と選び方・おすすめ機種を分かりやすく解説【シブヤ・コンセック・マキタ 他】、いかがでしたでしょうか。皆さまの機種選びのお役に立てば幸いです。またご質問などもお待ちしております! お気軽にお問い合わせください。
・ トラスコ中山株式会社 ( 2014 )『 知っておきたいプロツールの基礎知識「COCOMITE vol.2」 』 p.27 p.431 佐川印刷株式会社
【参考サイト】・ 株式会社シブヤ 公式ホームページ | ダイヤモンド工具のリーディングカンパニー 「 製品情報 | ダイヤモンド工具メーカー株式会社シブヤの製品情報 」, 株式会社 シブヤ (2019年4月24日閲覧)
・ 株式会社コンセック 「 発研グループ 」, 株式会社コンセック (2019年4月24日閲覧)
・ EXEN エクセン 振動応用技術で、世界をひらく 「 建設機械 – エクセン株式会社 」, エクセン株式会社 (2019年4月24日閲覧)