バッテリー溶接機の選び方と長持ちさせる3つのポイント

バッテリー溶接機 見出し用画像

↓軽量バッテリー溶接機をお探しの方はこちらの記事をご覧ください!

バッテリー溶接機は軽さで選ぶ アイキャッチ画像【軽量バッテリー溶接機のNo.1決定】軽く強いおすすめのバッテリー溶接機をご紹介。

バッテリー溶接機(バッテリーウエルダー)とは?

その名の通り、バッテリーで動く溶接機で、バッテリーウェルダーとも呼ばれます。電源を取れない現場や移動を必要とする狭い現場での短時間の溶接で便利です。

エンジン式溶接機に比べ、騒音や排気も無いのでDIYでも人気です。ただし、バッテリー溶接機は軽さや小回りの良さを重視して設計されており、使用率は10%~40%程度であることから、長時間の使用には向きません。

使用率とは?

使用率説明画像

使用率とは、「10分間を基準」として、溶接する時間をこの10分間に対する割合で示したものです。例えば使用率50%とは、「10分のうち5分溶接したら5分は休止する」という意味です。

私ははじめ「基準を10分とする」ことを知らなかったため「使用率50%だったら、30分使用して30分休止という使い方もできるのかな~?」などと考えていました・・・もちろん、そんな使い方はできませんのでお気をつけください。基準は10分です!

使用率を超えて溶接を続けるとオーバーワークとなり、本体故障の原因となってしまいますので、バッテリー溶接機を使用する際は使用率をしっかり守りましょう。(BDW-180MC2のように自動的に電源が切れ、バッテリーを保護する機能が付いている機種もあります。)

バッテリー溶接機の選び方

バッテリー溶接機の魅力はなんといっても、その軽さ。ほとんどの機種で一般的なφ2.6・φ3.2の溶接棒は取り扱うことができますから、ビルディでも軽さを重要視されてご購入される方が多いです。

あとはバッテリーがメンテナンスフリーかどうか、保護機能がついているかどうか、といったところでしょうか。下でビルディで取扱っているバッテリー溶接機の軽いものから並べてみましたので、是非ご参考にしてみてください。

軽さだけを見れば「マイト工業 LBW-152W」がオススメ

マイト工業のバッテリー溶接機「LBW-152W」が断トツで軽いことが分かりますが、これはリチウムイオンバッテリーを用いているためです。一般的なバッテリー溶接機は鉛蓄電池を使用しています。そのためリチウムイオンバッテリー製のバッテリー溶接機は他のものに比べて軽く、またメンテナンスも簡単になります。 そんな魅力的なリチウムイオンバッテリのバッテリー溶接機ですが、価格もかなり高くなってしまうため、現時点ではリーズナブルな鉛蓄電池製のものが主流となっています。

バッテリー溶接機 比較表
メーカー 品番 価格 使用溶接棒
(mm)
出力電流
(A)
質量
(Kg)
マイト工業 LBW-152W
LBW-152W
300,539 φ1.0~3.2 150 25
キシデン BW-145ZR3
BW-145ZR3
216,000 1.6~2.6 ~150 31
新ダイワ SBW140L-MF
SBW140L-MF
133,390 2.6~3.2 110・150 33
マイト工業 MBW-140-2
MBW-140-2
183,080 2.6~3.2 110~150 33
スズキッド SBV-130
SBV-130
136,980 2.0~3.2 130 34
キシデン BW-170ZR4
BW-170ZR4
237,600 1.6~3.2 ~170 37
デンヨー BDW-150Li
BDW-150Li
698,000 2.0~4.0 150 48
マイト工業 MBW150-3
MBW150-3
199,800 2.6~3.2 70~100 / 100~150 53
イクラ IS-160CBA
IS-160CBA
162,800 2.6~3.2 90~155 57
キシデン BW-155BXR
BW-155BXR
205,980 2.6~3.2 90~155 57
デンヨー BDW-180MC2
BDW-180MC2
215,774 2.0~4.0 30~180 58.5
新ダイワ SBW130D
SBW130D
134,383 2.0~3.2 80・130 60
新ダイワ SBW130D-MF
SBW130D-MF
148,814 2.0~3.2 80・130 62
新ダイワ SBW150D2
SBW150D2
143,259 2.0~3.2 80・110・150 75
新ダイワ SBW150D2-MF
SBW150D2-MF
159,078 2.0~3.2 80・110・150 75
新ダイワ SBW170D
SBW170D
160,800 2.0~4.0 本数アップ:150
特性アップ:80・140・170
79
新ダイワ SBW170D-MF
SBW170D-MF
170,780 2.0~4.0 本数アップ:150
特性アップ:80・140・170
80
新ダイワ SBW170D-P
SBW170D-P
238,580 2.0~4.0 本数アップ:150
特性アップ:80・140・170
95
新ダイワ SBW170D-MFP
SBW170D-MFP
264,800 2.0~4.0 本数アップ:150
特性アップ:80・140・170
96

※2018年3月7日時点。価格は変動することがあります。

バッテリー溶接機のよくあるトラブル

バッテリー溶接機 よくあるトラブル

DIYからプロまで幅広く活躍するバッテリー溶接機ですが、便利だからといって無理をさせてしまったり、メンテナンスが不十分だと故障に繋がってしまいます。

バッテリー溶接機のシェアNo.1のやまびこ産業(新ダイワ)さんによると、バッテリー溶接機の故障の原因のほとんどがオーバーワークバッテリーのメンテナンス不足ということでした。

下にバッテリー溶接機のよくあるトラブルをまとめてみましたので、使用前に確認し、トラブルを防止しましょう。

煙が出て、動かなくなった!

使用率オーバーによる、オーバーワークの可能性が高いです。バッテリーまたは本体が故障していると考えられますので、ご購入された店舗やメーカーへご相談ください。 ビルディお問合せ

バッテリーが充電できない!

コンセントに100Vがでていますか?
長いコードリールを用いると電圧降下が生じます。電圧降下の状態では正常に充電ができませんので、コンセントから直接電源を取って充電を行ってみてください。

バッテリーが劣化している恐れがあります。
バッテリーの寿命もしくは保管方法に問題があったことが考えられます。新品のバッテリーと交換してください。

制御部誤作動の可能性
一部の機種では、充電能力が低下した長期放置バッテリーをマイコンが自動的に判別し最適な充電を行う機能が付いています。しかし、まれに誤作動を起こし充電ができなくなってしまうことがあります。この機能が搭載されている機種の場合は制御部とバッテリーを繋いでいるコネクタを一度抜いて、再度差し込んで改めて充電を行ってください。

電圧が低い / 使用時間が短くなった

バッテリーが劣化している恐れがあります。
バッテリーの寿命もしくは保管方法に問題があったことが考えられます。新品のバッテリーと交換してください。

バッテリー溶接機を長持ちさせる3つのポイント

バッテリー溶接機のバッテリーは非常にデリケートで、メンテナンスをしっかり行わないとすぐにダメになってしまいます。

突然ですが、バッテリーの死亡原因の第一位は何だと思いますか?

バッテリー死亡原因のほとんどがサルフェーション(白色硫酸鉛化)だと言われています。ガソリンスタンドの隅っこに落ちている、端子に白い結晶が付着したバッテリー見たことありませんか?あれがまさにサルフェーションによって使用できなくなったバッテリーです。

サルフェーションとは?

ややこしい話になってしまいますが・・・鉛蓄電池は電極に鉛と二酸化鉛を、電解液に希硫酸を使用します。放電すると化学反応を起こして、負の電極側に硫酸鉛が発生します。使用後に充電をすれば、放電前の状態に戻るので問題はないのですが、放っておくと電極が硫酸塩が結晶化し、通電を妨げるようになってしまいます。これがサルフェーションです。

メンテナンスフリーバッテリーとは?

「じゃあ、メンテナンスフリーバッテリーがいいの?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

メンテナンスフリーバッテリーは通常のバッテリーよりも密閉性が高く、電解液の蒸発を防ぐ構造になっているのが特徴です。通常のバッテリーであれば電解液が足りているかチェックしたり、比重を計ったりしなければなりませんが、メンテナンスフリーバッテリーであればそういった作業は不要になります。

しかし、使用後に放置したままにしておくと通常のバッテリー同様サルフェーションは発生します。 メンテナンスフリーバッテリーといえども、適切なメンテナンスが必要なのです!

ポイント1.「使用後は充電して保管する。」

使用量の多少にかかわらず、使用後は充電完了まで充電して保管するようにしましょう。放電した状態で保管するとバッテリーの寿命を一気に縮めます。「一度使用しただけなのに使えなくなった!」というトラブルも多いようなのでお気をつけください。

ポイント2. 「1ヶ月に1度は必ず充電完了まで充電する。」

使用の有無にかかわらず、1ヶ月に1度は必ず充電完了まで充電するようにしましょう。使用していない状態でも実は少しだけ放電をしているので、長期間保管しているとサルフェーションが発生し、バッテリーがダメになってしまいます。

ポイント3. 「使用率を厳守する。」

使用率を超えて使用すると本体が高温になり、損傷の原因になります。使用率は厳守しましょう。

BDW-180MC2のように使用率オーバーなどの異常を検知すると自動的に電源が切れ、バッテリーを保護する機能が付いている機種もあります。

その他 溶接に必要な道具

バッテリー溶接機だけ購入してもすぐには溶接はできません!ここでは必要な道具を一つ一つ紹介していきます。初めての方やいちいち検討するのが面倒くさいという方には、マキタの溶接セットがオススメです。

溶接面

溶接面

溶接時に発生する強い光線から目を保護するため、溶接の際は必ず溶接面を使用しましょう。溶接電流値によって使用すべき遮光度番号が変わってきますので、遮光度が範囲内かどうか購入前に確認が必要です。

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遮光保護具仕様標準(JIS)
遮光度番号 7 8 9 10 11 12 13
溶接電流値(A) 30~75 76~200 201~400

溶接棒

溶接棒

母材(溶接される材料)に近い材質のもの、バッテリー溶接機の能力に見合ったもの(φ2.6・φ3.2が一般的)を選択します。また、溶接棒の被覆の種類によって特徴が異なりますので目的にあったものを選ぶようにしましょう。

被覆材は吸湿性が高いので、使用前には溶接棒乾燥器でしっかり乾燥させることも忘れずに!

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↓溶接棒についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

溶接棒の選び方 見出し画像溶接棒(被覆アーク溶接棒)の選び方【溶接の基礎知識】
溶接棒と適用
溶接棒 種類 適用
B-10 イルミナイト系 一般構造物の溶接
TB-24 ライムチタニア系 建築、橋、その他の重量構造物
Z-44 ライムチタニア系 軟鋼を用いる車輌、軽量鉄骨、建築などの一般構造物
LB-52 低水素系 490MPa級高張力鋼用、建築、橋、その他重量構造物
LB-106 低水素系 600MPa級高張力鋼用、圧力容器、橋、海洋構造物
PB-3 特殊系 自動車、サッシ、ドア、軽量鉄骨、薄鋼板のせん溶接
RB-26 高酸化チタン系 薄板構造物の溶接、厚板構造物の化粧溶接
NC-38L ライムチタニア系 12-8ステンレス鋼の溶接
HF-500 ライム系 土木機械の肉盛溶接

※表示記号は溶接棒のメーカーによって異なります。

防護衣

溶接用手袋

溶接時はスパッタが発生するので革製の手袋・前掛け・足カバー・安全靴・安全帽・長袖の服を必ず着用してください。

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溶接ケーブル

キャブタイヤケーブル

溶接ケーブルは、下に示す適正断面積以上のものを使用してください。適正断面積未満のケーブルを使用すると、溶接出力が低下します。ちなみに、ケーブル往復長とはアース線も含めた長さです。

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ケーブルの適正断面積 (単位:mm2)
溶接電流/ケーブル往復長 20m 30m 40m 60m 80m 100m
170A 22 22 30 50 60 80
140A 22 22 22 38 50 60
100A以下 22 22 22 22 30 38

バッテリー溶接機は自作できるの?

バッテリー溶接機を検索してみると、「バッテリー溶接機の作り方」のようなページもあるので「ちょっとしか使わないし、自作してみよっかな」と思ってしまいますよね。

しかし、メーカー製のものは制御基板が搭載されており、バッテリーの異常を検知するようになっていますが、自作される場合は制御基板は取り付けないことがほとんど。感電したり、バッテリーが膨張して爆発したり、大変危険です。十分な知識がある人以外は手を出さないほうがよろしいかと・・・。

以上、バッテリー溶接機の選び方と長持ちさせるコツ、いかがでしょうか。皆さまからの質問もお待ちしていますので、お気軽にコメント欄へ投稿ください。

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