【マキタ 対 HiKOKI】充電工具揃えるならどちらがおすすめ?2大メーカー徹底比較【2021年8月更新】

マキタとHIKOKIのキャラクター

マキタとHiKOKI、充電工具を揃えるならどちらがおすすめ?

新人さんや、独立されてこれから充電工具を揃えようとする職人さんがまず悩むことは、最初の一台目の充電工具をどこのメーカーから選ぶか、ということではないでしょうか。 特に国内2大メーカーであるマキタとHiKOKI(旧・日立工機)のどちらがいいか、皆さん一度は迷ったご経験があるかと思います。

今後充電工具をどんどん増やしていきたいという場合、バッテリの互換性を考えると、なるべくメーカーは統一していきたいところです。そこで今回は、多くの職人さんから支持を集めるマキタ・HiKOKIという2大メーカー充電工具について、様々なポイントから「初めての充電工具」にふさわしいメーカーはどちらか?を見ていきたいと思います。

単相100Vや三相200VなどAC電源を使用する電動工具に関しては、バッテリの互換性の問題はないので今回の記事では取り扱っていません。

【2020年7月追加】マキタの40VmaxとHiKOKIのマルチボルト

マキタ40VMAX
HiKOKIマルチボルト

HiKOKIの36Vマルチボルトシステムの登場以来、その利便性に押されていた印象のマキタでしたが、2019年10月に新バッテリーシステムの40Vmaxを発表しました。

HiKOKIの36Vマルチボルトは、従来の18Vとの互換性とパワーの両立を重視していましたが、マキタの40Vmaxには従来の18Vシステムとの互換性は備わっていません。その代わりに40Vmaxでは、電動工具メーカー初となる「バッテリー単体での」IP56防じん・防水保護等級に対応しています。また、耐衝撃性を40%向上しています。

一言で表すと、「パワーと互換性のマルチボルト」VS「パワーと耐久性の40Vmax」という構図になりますね。

40Vmaxとマルチボルトの特徴まとめ

40Vmax

  • バッテリー単体でIP56を実現
  • 耐衝撃性に優れる
  • 工具↔バッテリ↔充電器間でデジタル通信を行うことで最適給電+最適充電
  • 従来18V機との互換性なし
  • 実用充電19分、フル充電28分(2.5Ah)

マルチボルト

  • 従来18V機との互換性あり
  • 2年保証あり
  • -10℃~40℃動作保証
  • 実用充電19分、フル充電25分(2.5Ah)


40Vのよもやま話

「40Vmax」という名前ですが、実際のバッテリーの定格は36Vマルチボルトや従来のマキタ36Vシリーズと同じ36Vとなっています。バッテリーが満充電された直後は内部的には40Vに達するので、最大は40V = 40V MAXということだと思われます。

ちなみに、HiKOKIの36Vマルチボルトもこの表記に対抗して、「充電直後の電圧はMAX41V!」と2020年4月カタログに表記しています。マキタ風に言えば、「41Vmax」ということになるのでしょうか。

「40Vmax」「マルチボルト」は、バッテリーの電圧ではなく、シリーズの名称としてみるとややこしさが少し薄れるかもしれませんね。

2021年2月現在、36Vマルチボルトシリーズは55機種40Vmaxシリーズは52機種がラインナップされています。登場から約1年少々で、マルチボルト機にラインナップ数でかなり肉薄してきている現状を見ると、マキタの力の入れようがわかります。また、マルチボルト・40Vmaxともに今後もどんどん増えていくことが予想されます。

そのため、今回の更新では、今までのHiKOKI 36Vマルチボルトとマキタ18Vだけの比較ではなく、40Vmax機も合わせて見ていきます。今までは36V対18Vの構図となってしまっていましたが、やっと36V対36Vの比較となります。

充電工具のラインナップで比べる

まずは最も重要なポイントである、充電工具のラインナップを見ていきましょう。

なぜ、充電工具のラインナップが重要なのでしょうか? それは皆さんご存知の通り、同じメーカーの同じ電圧であればバッテリを使いまわすことができるからです。 充電工具のバッテリーは1個でもいいお値段しますので、下のように経済的なメリットが大きいですね。

新人さん向けに購入価格の違いを解説^^
  1. 既にマキタのバッテリと充電器を持っていて、新たにインパクトドライバーTD171Dを購入したいという場合。
  2. そのままフルセットで買うと、本体+バッテリ×2個+充電器+ケースで45,680円
  3. 持っているバッテリと充電器を使いまわすなら、本体のみを購入することで15,880円。別売のケース3,197円。合計で19,077円
  4. バッテリと充電器を使いまわすことで、26,603円もコストを抑えることができます。

充電工具の全体数

マキタ・HiKOKI2社の充電工具ラインナップ数を電圧ごとに表にまとめました。

マキタ・HiKOKIの充電工具ラインナップ数(2021年2月現在)
メーカー 充電工具のラインナップ
36V 18V 14.4V 10.8V 7.2V 3.6V
マキタ 53機種
(18V×2個仕様)
242機種 140機種 100機種
(スライド式)
13機種
52機種
(40Vmax)
29機種
(差込み式)
HiKOKI 55機種
(マルチボルト)
76機種 77機種 21機種 2機種 1機種

マキタ・HiKOKI共に様々な電圧の機種をラインナップしていますが、今回、特に注目して見ていきたいのが18Vのラインナップ36Vのラインナップです。

なぜなら、マキタ・HiKOKI共に18Vと36V(マルチボルト・40Vmax)を主力帯として位置付けていて、今後もこのクラスを数多く充電工具のラインナップを展開していくためです。(かつては14.4Vも人気でしたが、バッテリの軽量化、性能向上により現在では18Vの方が主流になっています。)

HiKOKIの36Vマルチボルトバッテリ機のバッテリは、従来の18V機とも互換性があり(※一部取付できない機種もあります)、今後HiKOKIはこのマルチボルトを主流としていく方針です。なので今回の記事では、18Vのラインナップと合わせて見ていきます。

マルチボルトとは?

HiKOKIが開発した新型バッテリのことで、36Vと18Vを装着した本体に合わせて自動的に切り替えて使用できます。36Vマルチボルト機に取り付けた場合は36Vとして、従来の18V機に取り付けた場合は18Vとして動作します。36Vのパワーを18Vバッテリのコンパクトさで実現するとともに、従来18V機との互換性も確保した画期的な技術です。

マルチボルトバッテリ

HiKOKIでは、このマルチボルトのラインナップをさらに増やしていく予定で、今後はHiKOKIの主力はマルチボルトに移っていくと思われます。また、従来の18V機のフルセット品の18V6.0Ahバッテリーは、順次マルチボルトバッテリーに置き換わっていっています


より詳しくマルチボルトについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください☟

HiKOKIのマルチボルトとは?評判はどう?互換性はある?

また、マキタの36V充電工具のうち18V+18V仕様のものは、18V機種と同じバッテリを使用できるので、今回の記事では18Vのラインナップに含めて考えていきます。

36V(18V+18V)とは?
36V(18V+18V)

マキタの36V充電工具によく見られる方式で、36Vバッテリ1個ではなく、18Vのバッテリを2個取り付けて36Vとして運用します。

GA701D
36V(18V+18V)充電式ディスクグラインダ

メリットとしては、18V機のバッテリを使いまわせるので、36V用のバッテリを買う必要がなく経済的である点と、36Vバッテリを使う同等の機種と比較して、連続稼働時間が長く、パワフルで粘り強い点があげられます。

一方、デメリットとしては、バッテリを2個付けなければ作動しないので、重量が増してしまう点があげられます。

結果としては、18V(マルチボルト)バッテリーが使い回せる機種数は、マキタが18Vと36V(18V+18V)を合わせて295機種、HiKOKIが18Vと36V(マルチボルト)を合わせて131機種ということになりました。18Vのラインナップの多さは、さすがはマキタといえそうですね。

一方で、対マルチボルトとして投入された40Vmaxは、現状で使い回せる機種はまだ少なく、従来の18Vとの互換性もありません。また、充電工具のカテゴリーにも偏りがあります。36Vバッテリーが使い回せる機種として見ると、マキタ52機種、HiKOKIは変わらず119機種となります。

種類別ラインナップ

続いて、種類ごとのラインナップ数を見ていきましょう。マキタは18V(18V+18V=36Vを含む)と40Vmaxを分けています。HiKOKIは18Vと36V(マルチボルト)を合わせた数になります

マキタでしか取り扱っていないものは青背景に、HiKOKIでしか取り扱っていないものは緑背景でハイライトしてあります。

マキタ・HiKOKIの充電工具種類別ラインナップ(2021年2月現在・カラーバリエーション含む)
種類 マキタ HiKOKI 備考
40Vmax 18V
インパクトドライバー 5 16 10

アングルインパクトドライバー
1 1
インパクトレンチ 2 6 4
シャーレンチ
シャーレンチ
1 18Vのシャーレンチはマキタのみ
ドリルドライバー 2 5 3
振動ドリルドライバー 2 4 3
スクリュードライバー 4 1
ドリル
ドリル
1 充電式のドリルはHiKOKIのみ
振動ドリル
振動ドリル
1 充電式の振動ドリルはHiKOKIのみ
アングルドリル 2 1
ハンマードリル 5 13 7
はつりハンマー
はつりハンマー
2 充電式のはつりハンマーはマキタのみ
ケレン
ケレン
1 充電式のケレンはマキタのみ
丸ノコ 2 8 11
集じん丸ノコ 2 3
金工カッター 2 3
卓上丸ノコ
卓上丸ノコ
1 18Vの卓上丸ノコはマキタのみ
コンクリートカッター
コンクリートカッター
2 充電式のコンクリートカッターはマキタのみ
スライド丸ノコ 1 2 3
ニブラ 1 1
シャー 1 1
ジグソー 1 3
マルチツール 1 1
角穴カッター
角穴カッター
1 18Vの角穴カッターはマキタのみ
ナイフカッター
ナイフカッター
1 18VのナイフカッターはHiKOKIのみ
レシプロソー 1 4 3
バンドソー 3 2
高速切断機
高速切断機
1 18Vの高速切断機はマキタのみ
油圧パンチャー
油圧パンチャー
1 18Vのパンチャーはマキタのみ
鉄筋カッター 3 2 マキタには全ネジ・鉄筋に対応した18Vチップソーカッターあり
全ネジカッター 3 2
鉄筋ベンダー
鉄筋ベンダー
1 18Vの鉄筋ベンダーはHiKOKIのみ
鉄筋結束機
鉄筋結束機
1 18Vの鉄筋結束機はマキタのみ
圧着機 1 1
ディスクグラインダー 11 13 9
ハンドグラインダー
ハンドグラインダー
1 18Vのハンドグラインダーはマキタのみ
ランダムサンダー
ランダムサンダー
1 18Vのランダムサンダーはマキタのみ
ベルトサンダー
ベルトサンダー
1 ベルトサンダーはマキタのみ
ポリッシャー
ポリッシャー
2 18Vのポリッシャーはマキタのみ
カンナ 2 1
ブロワ 7 2
集じん機 9 2
タッカー 3 3
ピンタッカー 1 1
フィニッシュネイラ 1 1 1
ばら釘打機
ばら釘打機
1 18Vのばら釘打機はHiKOKIのみ
コンクリートバイブレーター 2 1
コーキングガン
コーキングガン
1 18Vのコーキングガンはマキタのみ
トリマー
トリマー
2 18Vのトリマーはマキタのみ
ルーター
ルーター
1 充電式のルーターはHiKOKIのみ
真空ポンプ
真空ポンプ
1 18Vの真空ポンプはマキタのみ
草刈機
草刈機
1 20 充電式の草刈機はマキタのみ
ヘッジトリマー 15 2
芝生バリカン
芝生バリカン
2 18Vの芝生バリカンはマキタのみ
チェーンソー 26 2
芝刈機
芝刈機
7 18Vの芝刈機はマキタのみ
噴霧器
噴霧器
4 18Vの噴霧器はマキタのみ
運搬車
運搬車
1 18Vの運搬車はマキタのみ
ハンディクリーナー 16 7
ラジオ 7 16 1
テレビ
テレビ
1 18Vのテレビはマキタのみ
スピーカー 6 1
ライト 1 13 6
ファン 2 4 2
リベッター
リベッター
2 18Vのリベッターはマキタのみ
コーヒーメーカー
コーヒーメーカー
3 18Vのコーヒーメーカーはマキタのみ
空気入れ
空気入れ
1 18Vの空気入れはマキタのみ
空調服
空調服
25 18Vの空調服はマキタのみ
暖房服
暖房服
2 18Vの暖房服はマキタのみ
冷温庫 1 1
冷温ホルダー
冷温ホルダー
1 18Vの冷温ホルダーはHiKOKIのみ
高圧洗浄機 1 1
レーザー墨出し器 19 7 別売のアダプター(マキタ:ADP05 HiKOKI:BSL18UA(SA))と併用することで、墨出し器に給電できる
下地検知機
下地検知機
1 18Vの下地検知機はマキタのみ
※バリエーション、バッテリが対応する機種、旧機種などを含むため、18V工具の総数とは合計数が違っています。

一覧にしてみると、主要な充電工具はマキタ・HiKOKIの両方からラインナップされていることが分かります。一方で、コーヒーメーカーやテレビなど、どちらかのメーカーでしかラインナップされていない工具もあるので、なるべく自分が使いたい工具が多くラインナップされているメーカーを選ぶといいでしょう。

また、マキタの40Vmaxシリーズは、現状ディスクグラインダーやハンマードリル、インパクトドライバーといった比較的大きなパワーを必要とする電動工具を中心にラインナップされていますが、まだまだ数が少ない現状です。

片方にしかないラインナップまとめ(2021年2月現在)
マキタのみ
HiKOKIのみ
MEMO

電気屋さんに必要な圧着機や角穴カッター、ケーブルカッターなどは、現在のところマキタ・HiKOKIともに完全には揃っておらず、昔から電設工具に注力してきたパナソニックに今のところは優位性があります。ただHiKOKIは設備業者向けのカタログを出してきたように、今後ラインナップの拡充が期待されます。

フラグシップ機同士の比較

ここまでは、ラインナップを中心に見てきました。ここからは、充電工具そのものの性能を見ていきましょう。

今回は、最も主要な充電工具といえるインパクトドライバーインパクトレンチ丸ノコディスクグラインダースライド丸のこのフラグシップ機を見ていきたいと思います。マキタは18V機と40Vmax機、HiKOKIはマルチボルト機になります。

インパクトドライバー【マキタVSハイコーキ】

インパクトドライバー【マキタVSハイコーキ】

まずは、最も定番の充電工具といえるインパクトドライバーです。

【2021年2月追記】
マキタから18Vの新型インパクトドライバーTD172Dが発売されましたので、TD171DをTD172Dに差し替えています。スペックとしては、ほぼ先代機TD171Dと同じですが、ヘッド長は2mm短くなり、114mmとなっています。

インパクトドライバー比較
マキタ HiKOKI
品番
TD001G
TD001G
TD172D
TD172D
WH36DC
WH36DC
発売日 2019年10月 2021年1月 2020年10月
電圧 36V/2.5Ah
(40Vmax)
18V/6.0Ah 36V/2.5Ah
(マルチボルト)
最大トルク 220N.m 180N.m 200N.m
ネジ締め能力
(小ねじ)
M4~M8 M4~M8 M4~M8
ネジ締め能力
(普通ボルト)
M5~M16 M5~M16 M5~M16
ネジ締め能力
(高力ボルト)
M5~M14 M5~M14 M5~M14
ネジ締め能力
(テクスネジ)
φ3.5~φ6
ネジ締め能力
(コーススレッド)
22~125mm 22~125mm 22~125mm
打撃力切り替え 最速・強・中・弱 + 楽らく6モード 最速・強・中・弱 + 楽らく4モード ソフト・パワー(デフォルト)・パワー(カスタム)・ボルト・テクス
回転数(回転/分) 0~3,700min-1 0~3,600min-1 0~3,700min-1(テクス)
0~3,600min-1(パワー/カスタム)
0~3,700min-1(パワー/デフォルト)
打撃数(回/分) 0~4,400min-1 0~3,800min-1 0~4,100min-1
ヘッド長 120mm 114mm 114mm
LEDライト 2灯式 2灯式 3灯式
質量(バッテリ含む) 1.6kg 1.5kg 1.6kg
1充電当たりの作業量目安
(ネジM8×16mm)
4,500本 5,280本 4,170本
機能 無段変速・ブレーキ付・正逆回転切替・ライト付・ビット振れ低減・モードメモリー・防塵防滴(バッテリー含) 無段変速・ブレーキ付・正逆回転切替・ライト付・ビット振れ低減・モードメモリー・防塵防滴 無段変速・ブレーキ付・正逆回転切替・ライト付・トリプルハンマ・バッテリ2年保証・防塵防滴・Bluetooth連携
カラーバリエーション
価格
(フルセット / 本体のみ)
¥48,422 / ¥18,157 ¥48,832 / ¥16,910 / ¥19,388

インパクトドライバーのフラグシップ機同士の比較では、TD001Gが220N.mとクラストップのトルクを発揮しています。ただ、3機種ともネジ締め能力では同等となっています。これはつまり、通常のインパクトとして使うには220N.mはオーバースペックであり、180N.mもあれば必要十分ということも表しています。ただ、TD001GWH36DCはトルクの高さだけではなく、回転数や打撃数も優秀な値となっているので、締め付けスピードは早くなっています。忙しい現場で何百本とネジの締め付けをする場合などには効率よく作業ができそうです。

スペック上で見えない点としては、TD172Dの18Vに対してWH36DCTD001Gは36Vになっています。WH36DCTD001Gは電圧が上がったことによりモーターの温度上昇が抑えられ、より高速で粘り強い締め付けを行うことができます。更に、WH36DCはHiKOKIのみのトリプルハンマ構造により、低負荷時には好フィーリングとカムアウトを低減、高負荷時にはパワフルな締め付けを行えます。

作業効率にかかわってくる部分では、TD172Dが重量で優位、TD172DWH36DCがヘッド長で優位に立っています。1充電当たりの作業量目安は差があるように見えますが、18Vに換算して1Ah辺りの作業量で考えると、TD172Dが880本、WH36DCが834本、TD001Gが900本となり、あまり差はないと言えるでしょう。

また、マキタのTD001GTD172Dはワンタッチビットスリーブを採用しています。そのため、スリーブを引かずに軽く押し込むだけでビットを差し込む事ができます(ビットを抜く際にはスリーブを引く必要があります)。スリーブを引かずにビットを装着できるインパクトドライバーはほとんどないので、毎日頻繁にビットの抜き差しを行う方にとっては、WH36DCに対する優位点となりそうです。

金額面では、フルセット・本体のみともにWH36DCが最も低価格になっています。僅差とはいえ、18V機よりも低価格なので、コストパフォーマンスはかなり高いと言えます。

本体のスペックとは違いますが、WH36DCは各社のフラグシップモデルの中で唯一充電器なしセット(本体+バッテリ)をラインナップしています。すでに充電器を持っている方におすすめのセットです。

総評すると、全体的なバランスやスペック、使い勝手で優れ、コストパフォーマンスも高いWH36DCに軍配が上がりそうです。

また、水しぶきや泥がかかるようなハードな現場で作業する場合には、本体のみではなくバッテリーもIP56に対応するTD001Gがおすすめです。

MEMO

こうやってマキタ・HiKOKIのフラグシップインパクトドライバーを見てみると、工具としては珍しく、かなりカラーランナップが豊富なことが分かります。インパクトドライバーはマキタ・HiKOKIともに充電工具の看板であり、そのフラッグシップ機なので、細かい箇所にまでかなり力を入れているようです。

おまけ ~ライトの光り方とビットの影~

TD172DTD001Gは、近年主流となっている2灯式LEDを採用していますが、WH36DCは珍しい3灯式LEDを採用しています。照明があまりない現場などでは、ビットをしっかり照らせるかは重要なポイントになりますよね。ということで、TD172DWH36DCを実際にチェックしてみました。

正面から見たライト
正面から見た光り方 左がハイコーキWH36DC、右がマキタTG172D
TD172Dの照射範囲
TD172Dの照射範囲

こちらがTD172Dのライト照射範囲です。2灯式でも十分な照射範囲です。

WH36DCの照射範囲
WH36DCの照射範囲

こちらがWH36DCのライト照射範囲です。わずかな差ではありますが、ビットの先端部などに影ができにくくなっています。また、2灯式と比べて照射のムラが少なくなっています。

ちなみに、HiKOKIの独自技術であるトリプルハンマのようなマークが浮かび上がりますが、狙ったわけではなく、たまたまとのことです。

トリプルハンマー

インパクトレンチ【マキタVSハイコーキ】

続いては、こちらも定番工具インパクトレンチの比較です。ここでマキタとHiKOKIの36V機同士でのトルク勝負!と行きたかったのですが、残念ながらまだ40Vmaxシリーズにはインパクトレンチのラインナップがありません・・・。インパクトドライバーが出ているので、間違いなく今後出てくると思われます。登場したらすぐ追加しますので、もうしばらくお待ち下さい。

【2020/08/31追記】
ついにマキタから36V(40Vmax)のインパクトレンチが発売されました。早速比較していきます。

インパクトレンチ比較
マキタ HiKOKI
品番
TW001G
TW001G
TW1001D
TW1001D
WR36DA
WR36DA
発売日 2020年8月 2015年9月 2018年3月
電圧 36V/2.5Ah
(40Vmax)
18V/6.0Ah 36V/2.5Ah
(マルチボルト)
最大トルク 1,350N.m 800N.m 1,100N.m
角ドライブ 19sq(mm) 19sq(mm) 19sq(mm)
ネジ締め能力
(普通ボルト)
M12~M36 M12~M30 M12~M30
ネジ締め能力
(高力ボルト)
M10~M27 M10~M22 M10~M24
打撃力切り替え 最速・強・中・弱 強・中・弱 強・中・弱2・弱1
回転数(回転/分) 0~1,800min-1 0~1,800min-1 0~1,500min-1
打撃数(回/分) 0~2,300min-1 0~2,200min-1 0~2,900min-1
ヘッド長 217mm 229mm 221mm
質量(バッテリ含む) 3.8kg 3.7kg 3.7kg
1充電当たりの作業量目安
(高力ボルト)
M27(F10T):約160本(締付け時間約2秒) M22(F10T):約90本(締付け時間約4.5秒) M24(F10T):約95本(締付け時間約3秒)
機能 無段変速・ブレーキ付・正逆回転切替・ライト付 無段変速・ブレーキ付・正逆回転切替・ライト付 無段変速・ブレーキ付・正逆回転切替・ライト付・バッテリ2年保証
カラーバリエーション
価格
(フルセット / 本体のみ)
¥75,907 / ¥35,967 ¥73,508 / ¥32,964 ¥73,427 / ¥36,645

インパクトレンチのフラグシップ機同士の比較では、ついに登場したマキタのTW001Gがこれまでクラス最強だったWR36DAの最大締付けトルク1,100N.mを大きく引き離す、1,350N.mを発揮しています。この高いトルクにより、普通ボルトでM36まで、高力ボルトもM27までと優秀なスペックになっています。 また、他のメーカーではあまり開示されていない緩めトルクも公表されており、なんと2,050N.mという非常に高い数値になっています。固く錆びついたボルトなどにも十二分に対応できるでしょう。

作業効率にかかわってくる部分では、TW001Gがヘッド長217mmと最もコンパクトになっています。一番パワフルな機種が一番コンパクトという驚きの結果となりました。重量は流石にTW001Gが最も重くなっていますが、このスペックで0.1kgの差はむしろ軽いと言えそうです。

1充電当たりの作業量目安を見ても、TW001Gがより太いボルトをより短時間でたくさん締められるということが分かると思います。

金額面ではトルクと価格が比例しており、TW001Gが最も高く、WR36DATW1001Dの順で安くなっています。

総評すると、インパクトレンチでは、TW001Gに軍配が上がります。

丸ノコ【マキタVSハイコーキ】

続いては、木工作業の定番工具、丸ノコを見ていきましょう。

丸ノコ比較
マキタ HiKOKI
品番
HS001G
HS001G
HS631D
HS631D
C3606DA
C3606DA(K)
発売日 2019年11月 2016年11月 2019年10月
電圧 36V/2.5Ah
(40Vmax)
18V/6.0Ah 36V/2.5Ah
(マルチボルト)
のこ刃外径 165mm
(使用できる刃物径155~165)
165mm
(使用できる刃物径155~165)
165mm
(使用できる刃物径157~165)
最大切込深さ 90°:66mm
45°:46mm
左傾斜5°:42mm
90°:66mm
45°:46mm
左傾斜5°:55.5mm
90°:66mm
45°:46mm
左傾斜5°:57mm
無負荷回転数(回転/分) 5,500min-1
(スピードモード時)
4,100min-1
(仕上げモード時)
5,000min-1 4,300min-1
(パワーモード時)
2,000min-1
(サイレントモード時)
寸法
(長×幅×高・バッテリ含む)
299mm×188mm×258mm 286mm×192mm×258mm 292mm×188mm×262mm
質量(バッテリ含む) 3.3kg 3.0kg 3.3kg
1充電当たりの作業量目安 100本
(鮫肌プレミアムホワイトチップソー)
(メラピ 厚60mm幅300mm)
217本
(鮫肌プレミアムホワイトチップソー)
(米松材 厚50mm幅300mm)
190本
(黒鯱チップソー)
(米松材 厚50mm幅300mm)
機能 自動変速・仕上モード・ブレーキ付・ライト付・キックバック低減・防塵防滴(バッテリー含) 自動変速・ブレーキ付・ライト付・防塵防滴 サイレントモード・ブレーキ付・ライト付・キックバック低減・バッテリ2年保証
カラーバリエーション
価格
(フルセット / 本体のみ)
¥72,429 / ¥35,613 ¥69,360 / ¥29,730 ¥57,288 / ¥24,552

丸ノコのフラグシップ機同士の比較では、のこ刃外径165mmの機種同士を比較していきます。90°と45°の最大切込み深さは3機種とも同等ですが、C3606DA(K)は左傾斜でも57mmと優秀な数値になっています。

回転数の面では、HS001Gが5,500min-1と高速になっています。またマキタのHS001GHS631Dは、自動変速機能により、大きな負荷がかかった場合には高トルクモードに切り替わります。負荷が減った場合は高回転モードに復帰します。一方、C3606DA(K)ではパワーモードとサイレントモードを任意に切り替えることができます。騒音を抑えて作業したい場合には最適な機能といえます。サイレントモードでは負荷が大きくなると自動でパワーモードに切替わります。負荷が減った場合はサイレントモードに復帰します。パワーモードでは自動切り替えは行われません。

スペック上で見えない点としては、HS631Dの18Vに対して、C3606DA(K)HS001Gは36Vになっています。C3606DA(K)HS001Gは電圧が上がったことによりモーターの温度上昇が抑えられ、より高速で粘り強い切断を行うことができます。

寸法や重量の面では、HS631Dの方がわずかながらコンパクト・軽量になっています。

1充電当たりの作業量目安は、使用するチップソーによっても変化しますが、同じチップソーを取り付けた場合にはおおむね同等ということができそうです。

機能面では、HS631DHS001G防じん防滴構造になっています。水滴などのかかる環境や、粉じんの多い環境でも安心ですね。更にHS001Gはバッテリーまで防じん防滴となっている点は大きなポイントです。また、C3606DA(K)HS001Gキックバック低減システムを搭載しているので、より安全に作業をすることができます。

金額面では、フルセットはHS631Dが、本体のみはC3606DA(K)が安くなっています。

総評すると、全体のバランスではHS631D、スピードではHS001G、切込み深さではC3606DA(K)ということができそうです。

ディスクグラインダー【マキタVSハイコーキ】

g3610da

次に、研削・研磨作業の定番工具、ディスクグラインダーを見ていきましょう。

ディスクグラインダー比較
マキタ HiKOKI
品番
GA408D/GA404DN
GA001G / GA009G
GA408D/GA404DN
GA404DN / GA408D
G3610DA/G3610DB
G3610DA / G3610DB
発売日 2019年11月 / 2020年2月 2016年8月 / 2016年1月 2017年7月 / 2017年9月
電圧 36V/2.5Ah
(40Vmax)
18V/6.0Ah 36V/2.5Ah
(マルチボルト)
砥石外径 100mm
(取付け可能厚 3~6mm)
100mm
(取付け可能厚 3~6mm)
100mm
(取付け可能厚 3.5~6mm)
スイッチ方式 スライド / パドル スライド / パドル スライド / パドル
無負荷回転数(回転/分) 8,500min-1 8,500min-1 5,500min-1⇔10,000min-1
(オートモード時)
3,000min-1~10,000min-1
(変速モード時)
寸法(全長)
(バッテリ含む)
362mm 362mm 357mm
質量(バッテリ含む) 2.6kg / 2.7kg 2.3kg / 2.4kg 2.6kg
1充電当たりの作業量目安
(コンクリート筋付け 10mm)
13.4m 16.8m 15m
機能 キックバック低減・ブレーキ付・防塵防滴(バッテリー含)
【パドルスイッチモデルのみ:サイドハンドル付】
自動変速・キックバック低減・防塵防滴
【パドルスイッチモデルのみ:ブレーキ付・サイドハンドル付】
オートモード・無段変速・サイドハンドル付・ブレーキ付・キックバック低減・防塵防滴・バッテリ2年保証
カラーバリエーション
価格
(フルセット / 本体のみ)
¥61,380 / ¥21,206
(スライドスイッチモデル)
¥62,472 / ¥22,315
(パドルスイッチモデル)
¥58,789 / ¥19,072
(スライドスイッチモデル)
¥59,880 / ¥20,224
(パドルスイッチモデル)
¥42,353 / ¥19,525

ディスクグラインダーのフラグシップ機同士の比較では、人気の砥石外径100mm同士で比較してみました。両メーカーとも砥石外径125mm仕様の機種もラインナップしていますが、基本的には砥石外径の違いのみで性能はほとんど変わりません。

重要な点であるスイッチタイプは、両メーカーともパドル・スライドを選ぶことができます。しかし、マキタはサイドハンドルがパドルスイッチ仕様のみの設定となっています。また、マキタの18V機では、ブレーキもパドルスイッチ仕様にしか付いてきません。どちらのスイッチでもサイドハンドル・ブレーキの設定があるHiKOKIとは異なる点になっています。

スライドスイッチとパドルスイッチ
上がパドルスイッチ、下がスライドスイッチ

回転数でも大きな差があります。GA001G/GA009GGA404DN/GA408Dは8,500min-1で固定となっています。GA404DN/GA408Dは負荷がかかった場合に高トルクモードに自動で切替わる仕様になっていますが、GA001G/GA009Gでは何故かそれが無くなっています。一方、G3610DA/G3610DBはオートモードと無段変速モードを選ぶことができ、最大10,000min-1を発揮します。

全長に関しては、G3610DA/G3610DBが僅かながら短くなっています。一方、重量はGA404DN/GA408Dが最も軽くなっています。

1充電当たりの作業量目安は、バッテリ容量の差を考慮するとG3610DA/G3610DBが高効率といえるでしょう。

スペック上で見えない点としては、GA404DN/GA408Dの18Vに対してG3610DA/G3610DBGA001G/GA009Gは36Vになっています。G3610DA/G3610DBGA001G/GA009Gは電圧が上がったことによりモーターの温度上昇が抑えられ、より高速で粘り強い切断・研削を行うことができます。

こちらの動画は、当社でHiKOKIマルチボルトと100Vとで比較作業をしたものです。本体をかなり強く押さえつけて研磨していますが、36Vのマルチボルトならではの粘りがよく分かると思います。

金額面では、仕様にもよりますが、本体のみではおおむねHiKOKIが安くなっています。マキタのディスクグラインダーは、フルセットの金額がHiKOKIよりかなり高くなっていますが、これはバッテリーが2個付属(HiKOKIは1個)しているためです。バッテリー1個の価格は最低でも¥15,000以上するので、HiKOKIのフルセットより¥10,000程度のプラスでバッテリーが2個になると考えると、マキタのフルセットはかなりコスパが良いですね。

総評すると、ディスクグラインダーではG3610DA/G3610DBに軍配が上がります。

スライド丸ノコ【マキタVSハイコーキ】

2019年9月にマキタより18V充電式の165mmスライド丸ノコが発売されました。木材加工で人気のある工具ですので、両メーカー出揃ったところで早速比較してみました。

ノコ刃外径165mmクラスの場合

165mmスライド丸ノコ比較
マキタ HiKOKI
品番
LS001G
LS001G
LS610D
LS610D
C3606DRB
C3606DRB
発売日 2019年10月 2019年9月 2020年2月
電圧 36V/2.5Ah
(40Vmax)
18V/6.0Ah 36V/2.5Ah
(マルチボルト)
のこ刃外径 165mm
(使用できる刃物径155~165)
165mm
(使用できる刃物径155~165)
165mm
(使用できる刃物径155~165)
最大切断幅 182mm 182mm 245mm
最大切込深さ 90°:46mm
左傾斜45°:30mm
右傾斜45°:15mm
90°:46mm
左傾斜45°:30mm
右傾斜45°:15mm
90°:46mm
左傾斜45°:30mm
右傾斜45°:15mm
無負荷回転数(回転/分) 4,200min-1 5,000min-1 4,200min-1
質量(バッテリ含む) 10.3kg 10.2kg 10.5kg
1充電当たりの作業量目安
(フロア材 厚12mm幅180mm)
300本 400本 350本
機能 レーザーマーカー・ライト付・ブレーキ付・ブラシレスモーター・無線連動・左右両傾斜45°+1° 自動変速・レーザーマーカー・ライト付・ブレーキ付・ブラシレスモーター・無線連動・左右両傾斜45°+1° レーザーマーカー・ツインライト付・ブレーキ付・ブラシレスモーター・バッテリ2年保証
カラーバリエーション
価格
(フルセット / 本体のみ)
/ ¥76,023 ¥96,503 / ¥73,736 ¥97,185 / ¥74,338

165mmスライド丸ノコ同士の比較では、のこ刃外径や最大切込深さといった基本的な点では同等となっていますが、最大切り込み幅では、C3606DRBが唯一245mm(8寸)まで対応しています。また、LS001GZLS610D両傾斜45°+1°が可能になっています。

回転数の面では、LS610Dが5,000min-1と高速になっています。また自動変速機能により、大きな負荷がかかった場合には高トルクモードに切り替わります。負荷が減った場合は高回転モードに復帰します。

スペック上で見えない点としては、LS610Dの18Vに対してC3606DRBLS001GZは36Vになっています。C3606DRBLS001GZは電圧が上がったことによりモーターの温度上昇が抑えられ、連続して粘り強い切断を行うことができます。

重量の面では、僅差ですがLS610Dが最も軽量になっています。ただ、C3606DRBは245mm(8寸)切断が可能なので、能力から見たら最も軽いと言えるかもしれません。

3機種とも後方にスライドパイプが飛び出ない機構を採用しているので、壁際でも使用が可能になっています。

1充電当たりの作業量目安は、バッテリー容量の差を考慮すればおおむね同等ということができそうです。

機能面では、LS001GZLS610D無線連動集じんに対応しています。充電式の集塵機を使えばホースのみの接続だけで済むので、作業環境がスッキリします。C3606DRBはツインLEDライトを搭載しているので、照射範囲が広く作業がしやすくなっています。

金額面では、LS001GZLS610Dはほぼ同等ですが、C3606DRBは少々高めになっています。ただし、245mm(8寸)切断対応を考慮するとコストパフォーマンスはそこまで悪くないと思われます。

総評すると、全体的なバランスや価格的な入手のしやすさを重視するならLS610D、切断能力を特に重視するならC3606DRBと言えるでしょう。

ここまでは165mmクラスでの比較をしてきましたが、165mm同様に人気のある190mmについても見てみましょう。

ノコ刃外径190mmクラスの場合

190mmクラスには、まだ40Vmaxが進出してきていないので、従来型の18Vとマルチボルトとの比較になります。こちらも、今後出てくると思われます。登場したらすぐ追加しますので、もうしばらくお待ち下さい。

190mmスライド丸ノコ比較
マキタ HiKOKI
品番
LS714D
LS714D
C3607DRA
C3607DRA
発売日 2016年4月 2018年10月
のこ刃外径 190mm 190mm
(使用できる刃物径180~190)
最大切断幅 312mm 312mm
最大切込深さ 90°:50mm
左傾斜45°:35mm
右傾斜5°:40mm
90°:61mm
左傾斜45°:41mm
右傾斜45°:18mm
無負荷回転数(回転/分) 5,700min-1 4,000min-1
質量(バッテリ含む) 12.8kg 14.0kg
バッテリ 18V 6.0Ah ×2個 36V 2.5Ah
1充電当たりの作業量目安
(厚50mm幅300mm)
約115本 約60本
(36V 4.0Ahバッテリー時約100本)
機能 自動変速・ライト付・ブレーキ付・ブラシレスモーター レーザーマーカー・ライト付・低騒音・ブレーキ付・ブラシレスモーター・バッテリ2年保証
カラーバリエーション
価格
(フルセット / 本体のみ)
/ ¥70,178 ¥109,511 / ¥86,595

190mmスライド丸ノコ同士の比較では、のこ刃外径や最大切り込み幅といった基本的な点ではほぼ同等となっていますが、最大切込深さではC3607DRAの方がより深くまで切り込むことができます。また、LS714Dの左45°・右5°に対して、C3607DRAは両傾斜45°と汎用性に優れています。

回転数の面では、LS714Dが5,000min-1と高速になっています。また自動変速機能により、大きな負荷がかかった場合には高トルクモードに切り替わります。負荷が減った場合は高回転モードに復帰します。

スペック上で見えない点としては、LS714Dの18Vに対してC3607DRAは36Vになっています。C3607DRAは電圧が上がったことによりモーターの温度上昇が抑えられ、連続して粘り強い切断を行うことができます。

重量の面では、LS714Dの方が1.2kg軽量になっています。

C3607DRAは後方にスライドパイプが飛び出ない機構を採用しているので、壁際でも使用が可能になっています。

1充電当たりの作業量目安は、LS714Dが18V6.0Ah×2個、C3607DRAが36V2.5Ah×1個なので、単純には比較できませんが、18V換算で12Ahと5Ahということを考慮すればほぼ同等、もしくは若干C3607DRAの方が多いと言えそうです。なお、C3607DRAは36V4.0Ah(18V換算8.0Ah)バッテリーの装着も可能です。

機能面では、C3607DRAは2段ベルト駆動方式採用により、低騒音になっています。また、内蔵式ツインLEDライトで作業時・運搬時等にライトが邪魔にならない設計になっています。

金額面では、LS714Dの方が安くなっています。

総評すると、190mmでは切断能力や機能面、使い勝手が優秀なC3607DRAに軍配が上がります。一方で、スライド丸ノコとしての持ち運び性の良さや入手のしやすさを重視するならLS714Dと言えるでしょう。LS714Dは、発売が2016年4月となっているので、条件的に少々不利な比較になってしまいました。40Vmax機の投入に期待ですね。

165mmと190mmでそれぞれ比較してみましたが、いかがでしたでしょうか。金額は高くなっても構わないから、とにかく高スペック・高機能な充電式スライド丸のこが欲しいという方は190mmのC3607DRA一択と言えるでしょう。ちなみに、100mm幅以下の切断にしか使わないということであればスライド機能は不要ですので、マキタの最強充電式卓上丸ノコLS600Dをおすすめします。

充電工具性能比較まとめ

今回は、主要な充電工具をピックアップして比較を行いました。これまでの比較では、実質18V対マルチボルトといった構図になり若干の不公平感がありましたが、今回の更新で、マキタの40Vmaxシリーズが投入されている工具では、より興味深い結果になったかと思います。HiKOKIやマキタが、マルチボルト・40Vmaxを展開していない充電工具では、両社同じ18V同士での比較となるため、大きな差はないでしょう。今後マルチボルト・40Vmax共にラインナップが更に増えてくると思いますので、比較できる工具は順次追加していきたいと思います。

バッテリと充電器の性能をチェック

本体の性能も大事ですが、バッテリの充電速度や、重さ、容量のラインナップも気になるところですよね。ここでは、プラットフォームであるバッテリと、充電器の性能を見ていきます。

マキタ

マキタの18Vバッテリと充電器の性能表です。

マキタの18Vバッテリ・充電器
バッテリ 重さ 充電時間
品番 容量 DC18RF
DC18RF
DC18RE
DC18RE

※DC18RCも同様
DC18RD
DC18RD
DC18SE
DC18SE

※車載用
BL1815N
BL1815N
1.5Ah 351g 15分(フル) 15分 15分
(2本同時)
30分
BL1820B
BL1820B
2.0Ah 380g 24分(フル) 24分 24分
(2本同時)
45分
BL1830B
BL1830B
3.0Ah 643g 17分/22分
(80%/フル)
22分 22分
(2本同時)
60分
BL1850B
BL1850B
5.0Ah 639g 40分(フル) 45分 45分
(2本同時)
110分
BL1860B
BL1860B
6.0Ah 670g 27分/40分
(80%/フル)
55分 55分
(2本同時)
130分
※ 実用80%までの急速充電は、❆マーク付きバッテリでのみ可能です。

マキタの36V(40Vmax)バッテリと充電器の性能表です。

マキタの36V(40Vmax)バッテリ・充電器
バッテリ 重さ 充電時間
品番 容量 DC40RA
DC40RA
BL4025
BL4025
2.5Ah 19分/28分
(80%/フル)
BL4040
BL4040
4.0Ah 31分/45分
(80%/フル)

36V(40Vmax)バッテリーに対応する充電器は、DC40RAのみとなっています。18V用のDC18RF・DC18REなどでは、物理コネクタの形状そのものが異なるので充電することはできません。

HiKOKI

HiKOKIのバッテリと充電器の性能表です。

HiKOKIのバッテリ・充電器
バッテリ 重さ 充電時間
電圧 容量 UC18YDL2
UC18YDL2
UC18YDL
UC18YDL
UC18YSL3
UC18YSL3
UC18YML2
UC18YML2

※車載対応
BSL1825
BSL1825
2.5Ah 390g 25分 25分 25分 35分
BSL1830
BSL1830
3.0Ah 660g 15分 15分 20分 22分
BSL1830C
BSL1830C
3.0Ah
(薄型軽量)
388g 30分 30分 30分 40分
BSL1860
BSL1860
6.0Ah 670g 30分 30分 38分 40分
BSL36A18
BSL36A18
36V/2.5Ah
18V/5.0Ah
【マルチボルト】
700g 19分/25分
(80%/フル)
25分 32分 35分
BSL36B18
BSL36B18
36V/4.0Ah
18V/8.0Ah
【マルチボルト】
975g -/40分
(80%/フル)
40分 52分 60分
BSL36C18
BSL36C18
36V/1.5Ah
18V/3.0Ah
【マルチボルト】
-/15分
(80%/フル)
15分 20分 22分

バッテリ比較まとめ

主力である18V6.0Ahバッテリ同士で比較してみると、マキタのBL1860Bが27分/40分(実用80%/フル)、HiKOKIのBSL1860が30分となっており、HiKOKIのバッテリの方が充電時間が早いことが分かります。また、36V2.5Ahバッテリ同士で比較した場合もマキタのBL4025が19分/28分(実用80%/フル)、HiKOKIのBSL36A18は19分/25分(実用80%/フル)となっており、こちらもHiKOKIの方が早くなっています。

バッテリの重量に関しては、同じ容量の場合はほぼ同じという結果になりました。

プラットフォームであるバッテリ・充電器の性能はHiKOKIの方が優秀といえそうです。なんと言ってもバッテリー・充電器の使い回しができるマルチボルトの互換性の良さは、ほとんどの人にとって大きなメリットになりますね。

MEMO
BSL36A18B

HiKOKIは2020年5月に、Bluetooth搭載のマルチボルトバッテリを発表しています。この新型マルチボルトバッテリにより、従来の無線連動非対応の機種でも、バッテリーの交換だけで無線連動が可能になります。マルチボルトだから実現できたというわけではないと思われますが、こういったバッテリが今後使えるようになることもメリットです。

一方、マキタの40Vmaxシリーズも、バッテリー単体でのIP56実現や高い耐久性など大きな特徴があり、互換性を考えないのであれば最強のバッテリーシステムと言えるでしょう。

結局どちらがおすすめ?

まずは、ここまで見てきたマキタ・HiKOKIのポイントを振り返って見ましょう。

マキタ

  • 18Vの豊富なラインナップは特筆すべきポイント
  • 40Vmaxはまだまだ過渡期で、18Vとの互換性も現状ない
  • 充電工具の設計は、バランスを重視している印象

HiKOKI

  • 優秀なマルチボルトシリーズ
  • 充電工具の設計は、パワーを重視している印象
  • バッテリの充電が早い

パワーと互換性を両立させたいならHiKOKI

マキタであれば、18Vにするか40Vmaxにするか悩んでしまいますし、仮にどっちも揃えるとなれば倍以上の導入コストがかかってきます。HiKOKIであれば、マルチボルトバッテリ一で全てを解決することができます。ラインナップも登場初期と比べてかなり充実してきており、プラットフォームであるバッテリそのものも優秀です。

また、36Vマルチボルト機であれば十分なパワーも備えているので、18V機と比較してよりパワフルで粘り強くスピーディーに作業をこなすことができます。特に高負荷な用途が多いインパクトレンチや大型のディスクグラインダー、チップソーカッターなどでは、まだマキタ40Vmaxのラインナップがないため、マルチボルトが現状最適な工具といえるでしょう。マルチボルト自体のラインナップも今後どんどん拡充されていくので期待が持てます。

HiKOKIの従来型18Vを今買っても大丈夫?

現時点では36Vマルチボルトのラインナップがない工具でも、HiKOKIの従来型18Vを買って心配ありません。2020年7月現在、従来型18V充電工具の付属バッテリーも大多数がマルチボルトバッテリに置き換わっており、今後36Vマルチボルト機を本体のみで買っても問題なく使うことができます。

また、まだ従来型18Vバッテリーしか付属しない機種でも、マルチボルトと従来型18V充電工具を同時に買うのであれば、「マルチボルトはフルセット、従来型18Vは本体のみ」という買い方をすればベストです。(従来型18Vバッテリをマルチボルト機で使うことはできません。)

より詳しくマルチボルトについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください☟

HiKOKIのマルチボルトとは?評判はどう?互換性はある?

パワーよりはバランス重視で、たくさんの工具でバッテリを使いまわしたいならマキタ18V

ここまで見てきたように、18Vラインナップで考えると、マキタが圧倒的です。40Vmaxとの互換性はありませんが、それを補って余りある18V内での互換性があります。もちろん、40Vmaxにはあって18Vには無いという充電工具は存在しません。HiKOKIでは使いたい充電工具が全然揃わないという場合には、やはりマキタを選んでおいた方が無難です。

パワー重視で、粉じんや水しぶきが多い現場でハードに使うならマキタ40Vmax

粉じんや水しぶきが多い現場

40Vmaxシリーズは、他にはないバッテリ単体でのIP56防じん防滴性能と、強化された耐衝撃性が大きな特徴になります。一般的な充電工具は、本体が防じん防滴でもバッテリーは対象外なので、結局使用環境が限られてしまいます。40Vmaxならどんな現場でもそのパワーを十二分に発揮してくれるでしょう。ただ、現状ラインナップがかなり物足りないので、40Vmaxがない工具では、結局18Vなどと併せて使う必要があり、最初の充電器、バッテリー購入分のコストはかさみます。40Vmaxと18Vの変換アダプターなどが登場すれば互換性周りの問題はある程度改善されそうですが、現状その気配はありません・・・(充電器にはアダプターあるんですけどね)。

最強は両刀使い

やはり両メーカーを使いこなす両刀使いは最強です。用途や環境に応じて、どちらかのメーカーで必要な工具を揃えるというスタイルが理想かもしれません。最初の充電器、バッテリー購入分のコストはかさみますが、その後の「マキタの充電式鉄筋ベンダー早く!」、「HiKOKIマルチボルトのコーヒーメーカーはよ!(笑)」といった悩みからは解放されます。

おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。【マキタ 対 HiKOKI】充電工具揃えるならどちらがおすすめ?2大メーカー徹底比較、いかがでしたでしょうか。皆さまのお悩みが解決できたのであれば幸いです。またご質問などもお待ちしております! お気軽にお問い合わせください。

4 COMMENTS

king-B

お久しぶりです。
随分と寒くなりましたね。
今季は遂にウォームベストを購入しました。(他社で)

私の場合。
結果的にマキタ、パナソニック、ハイコーキ三社の充電式工具を運用するハメになっています。
ハイコーキは最近マルチボルトがラインナップされてから加わりました。

確かに。私自身も個人事業主ですし、一社で済ませられるなら?
コスト的には助かります。
しかし、道具の性能よりバッテリの互換性を優先させると、結局の所その程度でしか仕事の助けには成らず、工期や人件費など別の負担となって帰って来ましたね。
そして、その負のスパイラルは以降の現場でも繰り返し起こります。

そもそもプロであるという事は?
当然それなりの見返りがあり、また経費で落ちる負担ですから、道具選びに関しては『100か0か』『最善か無か』のスタンスで選んだ方が、後に買い直す必要に迫られる無駄も防げ、工具に無理をさせない分その耐用期間も長く、一番ローコストな結果になると感じており、バッテリの互換性を第一義に工具を選ぶ事は避けています。
まぁその結果、今の三社体制に至ってしまいました。

互換性を無視した事による余分な経費負担も、その都度生じる訳では無く、導入初期の負担に限定される事ですし、それ以後得られるメリットの方が大きい。というのが経験から得た結論ですね。
現場を見る限り私に限らず、多くのプロの業者さんは同じ価値観では無いでしょうか?

ファンジャケットはマキタで、ウォームベストはハイコーキ。
みたいな、どうでもいい様なアイテムまでバッテリに縛られず性能や販売価格などで純粋に選択出来るメリットもありますし、何より精神衛生的にも良く、楽しく仕事が出来ますね。

今回ハイコーキも加わったので、マキタの補修パーツの小売が無くなれば、ハイコーキに代替可能な工具はハイコーキにする事も検討しています。

返信する
ナベちゃん

king-B様、お久しぶりです。
この季節、ウォームベスト1枚あるといいですね^^
king-B様はマキタ、HiKOKI、パナの3社運用とのことで万全ですね。

仰る通り「精神衛生的に良く」「楽しく」仕事ができることは大切なポイントだと思います。
メーカー自体への好き嫌いがある場合は別ですが、やはり互換性が第一だと少し窮屈かもしれません。

>今回ハイコーキも加わったので、マキタの補修パーツの小売が無くなれば、ハイコーキに代替可能な工具はハイコーキにする事も検討しています。
マキタ補修パーツの件、ご迷惑をおかけしています。。
ハイコーキは現在のマルチボルトシリーズに並々ならぬ力を注いでいますので、今後の製品展開かなり期待できると思います。

またコメントお待ちしております。
引き続きよろしくお願いいたします!

返信する
King-B

ハイコーキの無線(Bluetooth®)連動機能とマキタの無線(Bluetooth®)連動機能に互換性はあるのですか?

返信する
ふーみん

King-Bさま

いつもコメントありがとうございます!
ご返信遅くなりまして申し訳ございませんでした。

メーカーに確認させて頂きましたところ、残念ながらマキタとハイコーキでは使用する無線のチャネルが異なるためペアリング(接続)ができないそうです。

返信する

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